2022年10月07日

「住宅」というくだらないもの

「住宅」なんていう建築は無くっていいんじゃないか?

まもなく完成間近の「小松さんの家」の現場にて、
久しぶりに日が暮れるまでのんびり過ごしながら
ふとそんな言葉が浮かびました。
とてもいい空間になりそうで、小松さんに求められた家族の居場所に少しは近づけたのでは?
と嬉しい気持ちがふつふつと湧いてきて、、、、、そんな時に浮かんだ言葉です。

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僕の仕事柄、「えっ??」って思われる様な、
「そんな事言っちゃっていいの??」と思われる言葉かも知れませんが、
僕の中ではとても腑に落ちる言葉でした。

そもそも「住宅」なんていう言葉は、建築のタイプとして誰かが勝手に名前をつけちゃっただけのものです。
リビングルームとか、ベッドルームとかユーティリティーとかみたいな部屋の名前も同じ。
そういうのは本当はただの概念でしかありません。

名前をつけたのは、きっと住宅を商品として販売したいメーカーだったのかも知れませんね!
カテゴライズしたほうが、販売するためのキャッチコピーが作りやすそうです。
いやもしかしたら学者さんかも知れません。
分類するのが学者さんの仕事ですから。


でもその分類されたイメージが浸透しすぎた事により、
本当に居心地いいかどうかよりも、
「リビングが天井低いなんて!1センチでも高くしてください。」
とか
「リビングだけはこだわりたいのです、、、。」
とか、
「奥様のユーティリティーは、キッチンと隣接させて家事動線を、、、」
なんていうように皆が考える様になりました。

そもそも「住宅」なんていう建築は存在しません。
なのに誰もが「住宅っぽい住宅」を建てなくては、っていう呪縛から
建主家族も、設計者も逃れるのが難しいのが現状です。


どこにだって住めるのになぁ、、、、

っていうのがずっと変わらない僕の考えです。
倉庫だって住めば家になるし、お店だって学校だって、洞窟だって、
自分のものが置けて、プライバシーが守られていて、雨風がしのげれば
どこだって家になる事が可能です。極端かもしれませんが、
「住宅っぽい」だから家になる、っていうよりも、「住みたい」と思えばどこだって家になるのです。

だから「住宅」であることよりも、「住みたい空間かどうか?」「居心地いいかどうか?」が
一番大切なポイントなんじゃないかなーと思いながらこれまでも仕事をしてきました。
だから、僕は「住宅」を設計してあげよう!なんて考えて設計した事は実はいまだに一つもありません。

その代わりに絶対に住んで気持ちいい空間を作ろう、という事は一生懸命考えてきましたし、
「この家族の住みたい空間ってどういうのだろう?」っていう事は精一杯考えてきました。
時にはそれが一般的な「住宅」っぽくなくったってそれはどうでもいいのです。
それが家族が「住みたい空間」であり、「気持ちのいい空間」でありさえすれば!

そんな風に思ってこれまで設計の仕事をしてきたように思います。

そうそう1年以上前、小松さんに設計を依頼された時に、

「仕事忙しいから別荘を建てようかとも思ったけど、それを家で感じられたら最高かなーって思って、、、。」

というような言葉がとても印象に残りました。
そんな経緯で設計を頼んでいただきました。

別荘とかリゾートって、自然の中で非日常を感じて、気分を解放してリフレッシュするために
わざわざ行くところですよね。
それを毎日過ごす「家」に求められるとしたら、、、、、僕たちは何をしたらいいんだろう?

そんな事をずーっと考えていました。
それはいわゆる「住宅」としてこういうものだ、と思い込まされている空間やインテリアやしつらえから、
逃げ切る事にヒントがあるように思っていました。
もしかしたらこの住宅のプランや、選んだ仕上げ材や、お風呂場のあり方など、
いわゆる「住宅」では選ばない方法を選んだところが多かったかも知れません。
でも気持ちいとか、心が解放されるとか、居心地が良いとか、、、、そんな体感に向かっていけば
正しいに違いない、と確信を持って進めました。

「住宅」っぽくはないかも知れないけれど、
小松さんが手に入れたかったのは日常の中にあるこういう空間体験なのでは??


ちょうど先日、
日が沈んでいく現場で一人過ごしながら、なんと居心地がいいんだろう、
もしかしたら少しは手が届いたかもしれないぞ!という
充実感がありました。

同時に、

「あーよかった!住宅なんて目指さなくて!」

という想いがふっと浮かんできたのです。


「住宅」というくだらないもの。

でももしかすると、本当に気持ちの良い空間を目指す時の真逆の存在としては、
大きなものさしになるのかも知れません!

完成が楽しみです。


posted by 西久保毅人 at 23:22| 2022年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年09月23日

時間をかける 時間がかかる


2019年にエスナレッジさんより出版させていただいた「家づくりのつぼノート」。

いろんな方のご尽力で出版させていただいて早3年が経ちました。
たくさんの方々に読んで頂く事ができて、この本のおかげでたくさんの出会いがあったのですが、
最近また嬉しい出会いが、、、、。

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なんと今年の夏にニコ設計室のインターンに申し込んで来てくれた学生さんは、
高校3年生の時に、この本を手に取ってくれて建築やりたいっ、って進路を決めたそうなのです!!!
本を書かせていただいてこれ以上に嬉しい事はないかも知れないなー、っていうくらいに
嬉しい出来事でした!

この本はこれまで頼んで頂いたたくさんの方々への感謝を込めて書いた本だったのですが、
同時に僕の裏テーマとしては、建築を学んでるけど悩んでる学生さんたちに

「建築ってこんなに面白くて自由なんだなー。 私もこういう仕事ならやってみたい!」

っていう事が伝わるといいなーって思いながら書いた本でもあったからです。
だからめっちゃ嬉しかったです!

実は2年前にこの学生さん、大学に入学した1年生の年に中野の「月のとびら」に本を持って
会いに来てくれていました。それから2年。
建築への想いが続いていて良かったなー、とつくづく思いました。

今回はあれから2年後っていうのがまた嬉しい事でした!
来るかな、来るかな、、、とちょっと心待ちにも、していたものでしたしね(笑)

人生まだまだこれから。
その子の想いがもっとずっと続くといいなぁ、、、、。


さて関連した話。
工学院大学で数年前から2年生の設計の授業を担当させていただいているんですが、
今年の後期だけ、1年生も見させていただく事になりました。

これまでもいろんな場所で大学生の設計の授業はしてきたんですが、1年生は初めてです。

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大学の建築学科の設計演習の授業って面白いなーと思うところの一つは、
1年生の授業とはいえ、デザインの授業には変わらないという事です。
つまりデザインって、実は素人もプロも関係ないんですよね。
良いものは良い、かっこいいものはかっこいいし、センスあるものはセンスあるもの、っていう世界であることは変わりません。

逆にダサいもの、カッコ悪いものは、1年生であれプロであれ同じ目線で判断されてしまう授業でもあるのです。

つまり僕たち教える側も、ついつい本気で学生の作品を評価しがち、っていう事でもありますので、
どうしても「大人みたいにませている子、器用な子」が高評価になりがちなのです。それが一年生と言えども。

そんな中で高評価の子たちの作品を見ていると、
「手数少なく、さらりとセンス良く」
作られた作品が多いなーという印象を受けました。

でも逆に、完成形はぜんぜん幼稚な作品なのだけれど、
「めちゃくちゃ時間をかけて、何度も色を塗り直して、作り直して、また手をかけて、、、。」
っていう「その子の1週間の軌跡」が目に浮かぶような作品もありました。

つまりその子は、作り上げる事に「時間をかける」事ができる子なのでしょう。
あーでもないこーでもないと悪戦苦闘しながら、家で悶々と手を動かしている姿が目に浮かびました。

きっと作りながらワクワクしてたんだろうなー。
わかるわかるその気持ち!

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どっちが良いとか悪いとか、っていう話じゃないんですが、
そんな1年生の作品を見ながらふと思う事がありました。

それは
「実際の建築って、さらりと出来上がるもんじゃない」という事です。

もちろん基本的なアイディアは短時間で作り上げる事も可能なんですが、本当に建つまでには
めちゃくちゃ長いプロセスと時間がかかるります。
だからそのバカみたいいめちゃくちゃかかる「時間」に耐えられるか?
っていうのが、実は建築家の一番大切な資質なんじゃないかとも思うのです。
他の職業でもおんなじ事が言えるのではないでしょうか?


そういう意味では、建築の設計において
実は一番大切な素養って、


自分の作っているものに、あーでもないこーでもないと無駄かもしれない努力を
時間の限りやらずにはいられない、つまり「時間をかけられる」能力

そして
完成するまで早くても1年とか2年とかの気の長い現時間がかかってしまう間、
想いを持続させる事ができる能力。

なんじゃないかなー。実は。
って思いました。

こういう能力って、学校の成績でははかる事はできません。
分かりやすい評価として目に見える事でもありません。
でも少なくとも僕がこれまで教えてきた子で、卒業後に活躍している子達、活躍しようともがいてる子達は、
最終的な大学時代の成績は良くなくっても、
この二つの能力をひしひしと感じられた子達だなーってつくづく思います。


どんな情報でもググれば簡単に手に入るし、
映画やドラマも倍速の早見で見ちゃう人も多いという、急がされているこの時代。
実は身につけるのが一番難しい能力かも知れませんね。


でもそんな時代の中でも実は案外、いるものです。
そして時々、授業の中でこういう子達に出会うととても嬉しいなー!と思います。

もしかするとこの授業では良い評価はあげられないかも知れない。
もしかするとたったの1、2年ではたどり着けないかも知れない。

でも

「よし、いいぞ!!その調子! がんばれがんばれ!!!」

って思う今日この頃なのです。


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posted by 西久保毅人 at 00:03| 2022年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年09月14日

デトックスと1000本ノック


以前読んだ角田光代さんのエッセイの中で、千本ノックの話がありました。
野球の千本ノックではなくて、小説の、です。

小説家としてデビューされた後のある時期、
小説が上手くなりたくて、千本ノックのように
一心不乱に打ち返すように執筆に明け暮れる、そんな時期があったのだそう。


スケールは全然違いますが、分かるなーっていう部分もありまして。
実は僕も「上手くなりたくて」っていう訳ではなかったのですが、
独立する前の設計事務所が某ハウスメーカーのための参考プランという仕事をしていて、
その手伝いをしていた時期があります。
東西南北あらゆる接道の架空の敷地で、よくありそうな大きさ、形状の敷地に対して
住宅のプランを作るという仕事です。
要するに、ハウスメーカーの営業マンさんがそれをカバンに入れておいて営業に向かい、
その場でその敷地に似た条件のプランを取り出して、

「お客様の敷地形状、大きさ、接道ならこのプランですね!!」

っていうための営業道具です。
だからとにかく「数」が必要な訳で、1ヶ月で100プランくらいを作ってました(笑)。
若い僕にとっては面白くもなんともない仕事だったんですが、
少なくとも「住宅として破綻」してるとやり直しなので、きちんと住宅として成立している事だけを
目指して機械のようにプランを作ってったのです。

いろいろ自分のこれまでを思い出す時に、この仕事はやって良かったなーと思える仕事の一つです。
この「筋トレ」のおかげで、いろいろ変な事ばっかり考えてると思われがちなニコ設計室のプランが
実は案外常識的な住宅でもある、という事につながっているのでは?と僕は思っていますし、
何よりも道が南にあろうが、北にあろうが、どんな形であろうが、ちゃんとした住宅にはする事ができる、
っていう不思議な自信にもつながった僕にとっての千本ノックでもありました。




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さて話は変わりますが、
実は5月27日から、毎日インスタグラムに投稿する、っていうのをやっています。
もう3ヶ月くらい過ぎたからちょっと書いてもいいかなー、、、、、。

きっかけは偶然で、ニコのお施主さんから「楽しみにしてるのに全然ニコのインスタ更新されませんね〜、、、。」
って言われた事です。
僕は僕なりにはやってるつもりだったんですが、見る人にとってはそうだったんだなぁ、、、って思う事があり。

それで試しに1ヶ月、毎日やってみよう、って思ってやり始めて1ヶ月経った頃、

「ん??なんかやめるタイミングどうしよう、、、、。」

って思い、せっかくなら続けてみよう、って思い今日にいたっています。
実は一応、続ける目標の日は決まっているんですが、まだまだ先なのでそれは言いませんが、
ちょっとした自分の中でのチャレンジにもなっている今日この頃。



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やっぱり毎日毎日、写真を選んで、短くても文章を書くって、なかなか大変です。
時間もそんなにかけたくありませんし。

毎日やる、っていう事だけは決めているので、そのうちネタ切れにもなるかも知れません。
でも逆に、これまで20年以上考えてきた事、気づいた事がそう簡単にネタ切れになる程度のものなのか?
っていう事に対するチャレンジでもあります。

だから自分の中にあるものをただひたすらに絞り出し、デトックスしていきたいと思っている今日この頃。

そして一番楽しみにしているのは、
もう出し切れないくらいに絞り切った時、はたして僕は何を書こうとするんだろう??っていう事です。

なーんてストイックな筋トレみたいな感じで書いちゃいましたが、
正直、いつまで続くことやら、、、、、目標の日はまだまだ先です(笑)。




でも、この僕の千本ノック、
やって良かったのは、ニコの若いスタッフ達が、「へーこんな仕事もあったんですねー!」っていう気づきにも
同時になっている事です。
いまニコにいる3人の20代の若者たちは、知っているようで知らないこれまでの仕事もたくさんあります。
かといって、全部を一度に教えるのも無理な話。

そういう意味で、ひょんな事からはじめた僕のデトックス千本ノック。

若者たちの肥やしにもなってくれたら嬉しいなーって思う今日この頃です。





posted by 西久保毅人 at 22:43| 2022年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年08月19日

11年前のお手紙から

ようやくうふふ白金台のオープンを終えてちょっと一息ついたので、
今日はロゴマーク誕生秘話です!


うふふ白金台のロゴマーク、
我ながらとても気に入ってるんですが、
(たまごの黄身がちょっといびつなところとかも、、、)

なんといっても可愛らしい女の子が、
木からぶら下がっているイラストがなんとも言えませんよね?よね??


このイラスト、どうしたと思いますか?


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実は、このイラストを描いたのは、
去年亡くなった飯島尚子さんなのです!


実は、今から11年前の事。
実際にお会いする前に
設計のご依頼にあたって
とあるレコードジャケットに挟まれた、イラスト付きのとても素敵なお手紙をいただきました!

そこにはおうちのイメージや、暮らしのイメージ、大事にしたいことなどが
たくさんイラスト付きで書いてありました。
まだ「つぼノート」が誕生する前の事ですね。

街とつながった素敵な生活のイメージだなー、って思ったんですが、中でも一番印象的だったのが
下のイラストでした。
なんか良くわかんないけど、森の中で女の子がゆらゆらしている絵です。


正直、飯島さんちって、土地の面積30uくらいしかなくて、
雄大な「森」のイメージとはあまりにかけ離れていたんですが(笑)、
それでもこのイラストみたいな家にできたら素敵だなぁ、、、ってつい思っちゃうようなお手紙でした。

それから11年。
「うふふ白金台」の企画がはじまり、いろんなロゴを考えたのですが、
どうもしっくりいかず。

考え始めてすぐにこのイラストをモチーフにして、、、とは思ってみたものの、やっぱり似た絵は描けても、
このお手紙に描かれたイラストの魅力には敵いませんでした。


そこで、このイラストをそのまんま利用する事だけを決めました。

この手紙から、ロゴマークで使える絵素材に仕上げるための作業は、
今は長野に移住しているもとニコ設計室のスタッフ、牛島史織さんが手がけてくれました!(今は秋山史織さんです。)


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まさかこの11年前のお手紙を引っ張り出してくる日が来るとはねぇ、、、。

オープンに向けてはこのイラストのスタンプも作ったんですよ!


以上、ロゴマーク誕生秘話でした!


posted by 西久保毅人 at 23:35| 2022年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年08月18日

これからのうふふ白金台は、、、、、なんと!!!!

先週末、8/13(土曜日)に
めでたく「うふふ白金台」オープンを迎えました!

そういえばこのオープン日を決めたのは6月くらいだったでしょうか?
この日に向かって、皆であーでもない、こーでもないと
3歩進んで5歩下がる様な要領の悪いうふふチーム(笑)。

ようやくラスト1週間くらいでいろいろ準備が軌道に乗ってきたのですが、
その日が近づくにつれ、天候が怪しくなり、、、、、、。

今年初の台風急接近!


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そんな訳で、
嵐の中の「うふふ白金台」オープン初日でした(笑)。

いやぁ、、、、らしいなぁ、、、、。

もう朝からその日は、嵐である事が100%分かっていたのですが、なんかそういうのも
僕たちらしいよね〜、などと言いながら、オープン準備。


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まぁ、準備も結構バタバタだし、
初めての事だから、お客さんが殺到してご迷惑をかけるよりも、
こういうお客さんのこなさそうな日に、本番のつもりでシュミレーションするにはいい日かも??

とか前向きに考えつつ。

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と、
そんな午前中だったんですが、
天気が本当にちょーーーど良くってですね(笑)。

ざーっと一瞬降っては、やみ、ざーっと降っては小雨になり、、、と
気温も涼しくて、時々雨に濡れて、それも程よく気持ち良くて。

お客さん達も、入居後オープンハウスのご予約の方々もほどよく雨の合間をぬってご来場して頂きつつ、
通りがかりのお客さんもちょこちょこ来てくれつつ、
と、

素人集団が、お店をオープンするには、実は絶好の日でもあったのかも??と今では思います。

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そんな日でもあったので、
意を決してご来場いただいた皆さまとは、なんだかいつもよりもゆったりした気持ちで
お話しできたり、長く過ごして頂いたり。

もちろん商売繁盛もいい事ですけど、
「うふふ白金台」のオープンをきっかけに飯島さんちでのんびりと過ごせて
とても素敵な1日でした。


いやぁ、しかし、
お菓子ひとつでも、作って売るって、めちゃ大変ですね!
味はもちろんのことですが、

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どういう包装にするか、それはどういう紙に??

ロゴマークは??

スタンプは??

「成分表示ってどこに貼るの??何書くの??」から、


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「やっぱ、うふふの焼印あった方が良くない??」

と、焼印作ったら作ったで、上手く押せないし、押して失敗したら商品台無しだから、最初は焼印無しにしましょうか、、、?
なんて話も出たり、、、、。

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ショップカードはどういう形??

何色??

大きさは〜??

まで。


そしてそれは注文が来てから箱詰めするのか、ある程度はしとくのか、、、、、??まで。


たった一つの台湾カステラ売るのに、考える事はほんとに次から次から無限数珠繋ぎの様でした(笑)。

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実際に、箱詰めしたカステラを郵送でニコに送って開けてみるっていう、
シュミレーションまで何度かしたんですよ!!!

そういう意味では、ケンチクって流石に実物を試しに作れないから、ある程度検討したら
えいやっ、っていう部分があるんですが、
今回のプロジェクトは実物がつくれちゃうゆえに、なかなか終わりのないものづくりでした。



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もし、尚子さんが去年のこの日に亡くなってなかったら、こんなはちゃめちゃな1日にはならなかっただろうなぁ。
でも、こんな嵐の中で賑やかに過ごせる命日なんて、とても尚子さんらしいなぁ、、、とも思いました。

まんまと尚子さんにハメられたのですね!僕たち。

ご主人の寛さんも、
「尚子さんがこのおうちが大好きだったから、めちゃくちゃ喜んでると思いますよ〜!」との事でした。

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そんな訳で、
嵐の中、次から次にご来場する愉快なみなさまのおかげで
準備したカステラは夕方には完売し、最後は品切れで購入できない方もいらっしゃいました。

ほんとに全然売れなくて、嵐だし、
みんなでカステラ5箱づつ持って帰るようなオチも想像していただけに
大成功のオープン初日でしたし、
はじめていらっしゃる方々にも、完成して10年目になる飯島さんちをご案内できて
とても嬉しかったです!

今のところ毎週土曜日だけのオープン予定ですが、これで
「なんとかできる!」
っていう自信にもなる1日でした。





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そうそう、
今回のデザイン協力には、もとニコ設計室のウシジマさんも遠隔地より尽力してくれていたので、
当日は、産まれたばかりの赤ちゃん連れて手伝いに来てくれました!


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さて、そんな訳で嵐の中で大成功の「うふふ白金台」オープン初日。
でも、嵐だったので来たくても来れない方もいらっしゃった様です。

そこで家主の飯島寛さんのご提案により、なんと!!!!!


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正直言って、僕たちよりも上手に「森をよけた住まい」について寛さんが説明してくれますよ。
お楽しみに〜!


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posted by 西久保毅人 at 21:43| 2022年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年08月15日

デキル デキナイ

住宅が完成すると、ようやくお引っ越し。
そこで登場するのがお引っ越し屋さんや、家電運送業などの人たちです。

そういう意味では、僕はもう100回以上のお引っ越しにもなんとなく関わってきたと
言えなくもありません。
独立した最初の頃は、あまりにも冷蔵庫置き場とかをギリギリに設定しすぎたり、通路が狭くて搬入できない、、
みたいな失敗をしてしまった事もありましたし、
その時は搬入できても、買い替えの新製品が入らない、など、いろいろ経験してご迷惑をかけたりしました。
冷蔵庫や洗濯機にしてみても、薄型が流行ったかと思えば、数年後には斜めドラムが登場したり、奥行きが深いものが
主流になったり、、、、。


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だから、その度に学習して
今ではニコ設計室の住宅標準ウラ寸法は、ある程度買い替えなどがあったり新商品がでても、
これ以上にはならないだろう、、、っていう推測の元、いろんな搬入経路や幅や奥行きを決めています。

事務所内で年々更新しているこういう設定は、これに限らずいろいろあるんですが、
こんなウラ話、外部の人にしないですし、
わざわざ人にいう機会もなかったので実は伝えるのは今回が初めてかも知れません。

さてそんな昨今。
また新たな問題がここ数年起きています。

それは家電の搬入業者さんや引っ越し屋さんが、

「これは入りませんね、できませんね。。。」

ってすぐ言う問題です。

正直、「どう考えても入るでしょ??逆にこの寸法で搬入できなかったら世の中の階段が急な建売住宅とか
どうしてんの、、、、?」って思うのですが、

「いやぁ会社的にNGです。」とか「できません。」の一点張り。
大きな会社ほどその傾向があるようです。


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おそらく過剰なリスク回避なのだとは頭では分かるのですが、
これは引っ越しに限らず世の中すべてがここ最近なんだかそういう傾向にあるような気がします。

まぁ、入るっていって入らなかったり、
壁に傷がついてあらたなクレームが起こる前に、やる事そのものを放棄するほうが身を守れるという
事なんだと思うのですが、なんだかなぁ、、、、。
僕たち、めちゃくちゃこういう場面に出くわす職業なので余計に腑に落ちません。
まぁ、世の中の流れだから仕方ないのでしょうけどねぇ、、、。


そういう意味では自分のコトを振り返ると、
僕は「できる」って言いたくて独立したような気がします。
たとえば土地が狭かったり、条件が悪かったり、想いを分かってもらえなかったり。。。

もちろん本当に不可能な事もあるんだとは思うのですが、
その前に、

「うーん、、、でもなんとか工夫すればできるんじゃね、、、。」

って思ってしまうのです。
そういう意味では僕は根っから超楽天的なのだろうな〜、と思いますが、
数々の苦い思いを経験した今でもやっぱり

「うーん、できるんじゃない?」

って思ってしまうのです。
あとから「できないって言っとけば楽だったのになぁ、、、」って思う事も多々ありますが、
やっぱり今でもそういうところは変わりませんねぇ。
だから「ニシクボさんができるっていうから私たちはこんな大変なんじゃん!!!」
ってスタッフに言われてそうですけど、、、、(汗)。

でも最初に「できる」って思ってなかったら先日の「飯島さんの家」をはじめ
ニコ設計室の住宅の多くはできてなかったんだとも思うので大目に見ていただければ、、、、。


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さてそんな先日。
寸法的には入るはずの設定だった家具が、階段では2階に上がらないとのこと。

その場で寸法測ってシュミレーションしても入りそうなのに、

「いや、少し試してみましたが我々の技術では人力では上がりません。重いですので外からレッカーなどでしたら、、。」

と、確信に満ちたような顔で某引っ越し業者。

そこで後日、吉本くんが変わった業者さんを見つけてくれました。

「便利屋!お助け本舗」さんていう会社です。

吉本くんいわく

「、、、見つけたは見つけたんですけど、ちょっと謎っぽいので当日ニシクボさんも人工として来てください!」

との事(笑)。

そんな当日のこと。
なんだかプロレスラーのようなガタイのお揃いのTシャツの人たちが数人現れました。

「これを、、、、2階にあげればいいんですよね??」

と言葉少なに仕事に着手すると、手早く周りを養生し始めてくれました。

「あーそういうトコも、ちゃんとやるんだなぁー」

と感心してたんですが、せーのっ、という掛け声と共にものの10分くらいで
ミッション完了!

トータルで現地滞在30分足らずで帰っていかれました。

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あまりの爽快さ!!!!!

たまにドラマとかで「何でも屋さん」って設定に出てきますが
実際に会ったのも、お願いしたのは初めてです。

いやぁ、爽快だったなぁ、、、、。
心の中で、
「ほーらねっ!」って思いながらも、ほーんとこういう「デキル」を「デキナイ」っていう人たちが
増えてきたなぁ、とも思いました。リスクとか責任という名のもとに。
まぁ、僕が学生の頃から何かにつけ「これはできないねー」っていう大人多かったですけどね。


そういう意味では、こういう何でも屋さんっていうのは、
そもそもの起業動機が、

「やればできる!!!」、、、、かもしれないじゃーん。実際にやってみたら。

っていうプラス思考なのかも知れませんね。
芸人のティモンディーみたいな(笑)。

そんな訳で、萎縮思考になりつつある社会に時々がっかりする事もありますが、
今回はとてもとても爽快でハッピーな出会いでした!

こうでなくっちゃー。


またぜひなんか頼んでみたい今日この頃です!


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posted by 西久保毅人 at 19:49| 2022年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする