2022年06月01日

道山さんの家(和紙貼りコースターワークショップのはなし)



と、
そんな訳でせっかくだからギャラリーでなんかしよう!っていうコトになった道山さんの家のオープンハウス。

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ラッキーなコトに2日間できそうだということが直前で分かり、
それなら何か展示とかワークショップとか、、、
ニコ設計室を知らない通りがかりの人にも参加してもらえるような、
子供達も楽しんで帰れるような企画がいいねとなりました。


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ニコの展示、っていっても仰々しいので、
いつも和紙貼りとかをご家族と一緒にやる延長のようなコトがいいんじゃないかとなり、
10センチ角くらいのコースターのワークショップなんかは案外気軽かも??
というコトに。

そこで我らが京都のハタノさんに、

「カレコレこういう事を福岡でやりたいので、
 在庫のある範囲で、できるだけいろんな色の和紙をお願いしまーす!!!!(もちろん購入)」


「そして、なんか注意事項とかあれば、、、、ぜひアドバイスを!!!!」

と、いろいろ教えていただき、
直前に企画した割には、めちゃスムースに準備は進みました。
どうもありがとうございます、ハタノさん!!!


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とはいえ、
いくつか自分たちでも作ってみないコトには、
何でつまづくか分かりませんから、入念な試作試作、、、。

壁を貼るのとは、ちょっと手際も違うので、やりながら必要なものやコトを洗い出し、
無事当日です。



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気軽とはいえ、
ノリで手がベタベタしますし、
子供には案外難しいかなぁ、、、、という
懸念もありましたが、始まってみると子供達の集中力たるやすごくて、
数々の名作コースターが誕生していきました!

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中には一人でいくつも作る子供。

親の方がマジになっちゃったお母さん。

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2日間ともお天気に恵まれたのもあって、
大成功のイベントとなりましたし、
道山さんご家族にとってもこの場所の使い方を試してみる良い機会だったのでは??と
思いました。

このまま保育園帰りの集会場にでもなる方が良いのかも(笑)?

っていうような来易さや入りやすさがあるスペースです。


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あとは、道山さんの家ができるまでのスタディー模型やメモや写真、
実際に使用した塗装の見本などを一角に展示させていただきまして、結果的には
けっこう盛りだくさんのギャラリースペースになり、
若者たちも大忙しの二日間。

まあ、わざわざ行った甲斐があるってもんでしょうね〜!


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今までもいくつかのお店やギャラリー付きの住宅を設計させていただきましたが、
オープンハウスと合わせてこういう企画をしたのは初めてでした。

でも、家をみるだけじゃなく自由に過ごせる場を作れて
どちらに興味がある人にでものんびり過ごせていただけたかなーと思いました!


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道山さんは、しばらく貸さずにどうしようか考えてみる〜、というコトなのですが、
こういう2日間を過ごしちゃうと、

「、、、、うーん、本格的にニコ設計室の福岡事務所に借りちゃおうかなぁ、、、、。横に家もあるし。」


などという夢のような妄想も考えてしまいますねー!

そのくらいに道山さんの家は、街の人たちが気軽に立ち寄れるスペースになっていきそうです。





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さてそんな訳で、今回はワークショップ編でした。

次回は道山さんの家の全貌に迫っていこうかと思います!

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つづく




posted by 西久保毅人 at 20:34| 2022.6月の気付き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月06日

道山さんの家(家のはなし)

さて、いよいよ道山さんの家の中の紹介です!

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この写真は、ギャラリースペースからの出入り口なのでオープンハウスの時は、こちらから出入りをお願いしましたが、



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実際は2棟のあいだに、住宅専用の玄関があります。

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そうそう今回、はじめて「そとん壁」っていう左官の外壁材を使用しました。
そとん壁は、鹿児島のシラス大地のシラスが原料で自然素材の外壁材なんですが、
何より質感が素敵で!

荒々しい質感が好きな僕はいつか使ってみたいと思っていたのですが、
ようやく道山さんのご希望もあり実現しました!
仕上がってみると、やっぱり塗り厚も厚いためになんとも言えぬゴツゴツ感です。
表札は、いつも東京でお願いしている小原さんに制作していただき、郵送で送ってもらいました!
いつも僕の手書きのスケッチを、ほぼ完璧に鉄で再現してくれるのです。
いつも感謝です!

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さてまずは玄関を入ると、ブルーグリーンの空間です。



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玄関エリアに手洗いとトイレがありますが、あんまりトイレだと分からないように
曲面の壁をそのまま繋げています。




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そして玄関を抜けると、西側のお庭につながった1階の生活空間があり、
食堂を中心として、小さな畳の部屋や、キッチン、お風呂場などがまわりを囲んでいます。

東京だと時々2階リビングもあり、それはそれで気持ちいいのですが、
やっぱりのびのびした1階リビングは、外との地続き感があっていいですね〜!



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素材としては、赤紫のような色をベース色としていて、
濃い杉板が貼られたコアのような場所場所に、台所とか、お風呂とか、階段とか、、、、が
入っているような空間構成としていますので、焦茶の木の壁の向こうに「何かある」っていう
イメージでしょうか。

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ちょっとした畳の小上がりは、
赤ちゃんをちょこんと転がしておけたりして、僕はとても好きなスペースです。

大人がちょこっと飲むのにも!


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2階からは、こういう視点も楽しめます。



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キッチンもその濃い杉板の中にあり、とても質感のある水色の塗装の空間になっていて、
道山さんの家では、キッチンと洗面台などはまるっとイケヤの商品を使っています。

既製品のキッチンと他の素材がどうなるかなぁ、、、と若干みんなで心配していたんですが、
細やかなタイルと塗装などがミックスされてとても美味しそうなキッチンになりました!

タイルは2種類使ったり、目地をブルーにしたり、、、、。

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洗面室は、ピンクで、部分的にうろこみたいなタイルを貼っています。



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これは畳の小上がりから玄関方向を見たところ。
こういう色の変化でうまれる奥行き感が僕は好きです。
そして、鮮やかな色味の中にある日本的な要素も!



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さて、2階に上がります。
階段室には、薄めですが本棚を作っており、その正面にはご家族とみんなで張った和紙のちいさな壁があります。

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たぶん、今まで張った和紙の面積で一番ちいさな壁ですが、いろんな色をモザイク状にミックスしたので
小さいけれども、道山さんちの中心のような存在になりました。

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2階は、大きめの寝室と将来の子供部屋、そしてワークスペースがあるくらいです。

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でもまだ子供たちは小さいので思う存分、遊べるように!

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大きな寝室は、ピンク色の黒板塗料と赤紫。


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子供部屋は、深い黄色。


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その奥にかわいいクロスのコーナーがあります。


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あ、
これは現場で大活躍だった久木原工務店の監督、千原さん!
千原さんのおかげでこの家ができたようなものです。

ありがとうございます!またお願いしまーす。


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そしてこの、階段室を振り返るとみえる、四角い光の正体は、、、、。

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この、寝室の奥にある、ちょっと天井の低いワークスペースです。
屋根裏みたいな場所ですが、ここから1階を見下ろすコトができるのです!

なんだかんだと、一番居心地のよいちいさなスペースです。




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さて、そんな訳で、3回に分けて道山さんの家を書いてきました。
なんだかんだと、
遠方だし、おまけにコロナ禍に突入するという大変な時期の設計ではありました。
途中は、福岡に行く事もできず、ズームでの打ち合わせもたくさんしました。

でもどんな状況の時でも不思議と「遠くない」って感じていたんですよねー。
それは、道山さんご家族がいつも僕たちを信用していただいてくれているのを感じたからに他なりません。
不安な時期もあったと思いますが、ズームでうちわせする時もなんだか近くにいるみたいでした。

実は一番最初は、コロナ前にお問い合わせいただき「新さんの家」の入居後オープンハウスに
来て頂いたのが始まりです。新さんの家の建もの探訪、毎日見てるんですよー、っておっしゃるくらい
気に入ってくれていました。


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でも、ほんとに自分たちの家はどうなるのか?
結構不安もあったと思うのですが、
最終段階で塗装や仕上げが徐々に完成し始めて、

「おー、最後はやっぱりニコさんの家になるもんですね〜!!!」

と嬉しそうに言って頂いたのが、とても印象的でした。


もちろん僕たちも不安はあったんですよ。
それでもいろんな決断の時に、僕たちの決断に任せて頂いてくれているのを、
楽しみにして頂いているのをひしひしと感じて、
それがとても嬉しかったです!!!

道山さん、どうもありがとうございました!


そして、工事をしていただいた久木原工務店さん。
ほんとに素晴らしかったです!

またぜひ一緒にお仕事をさせていただきたいなーと思っています。
(僕たちがめんどくさくなければ、、、、。)

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さて。

だから完成したのも嬉しいですし、
2日間もオープンハウスをさせて頂いたのも嬉しかったんですが、

「あーぁ、終わっちゃった、、、(涙)」


ってうのが、寂しいというのが正直なところ。


もーーーーー、こうなったら、
テナント部分をニコ設計室にするしかないですかね??
福岡支店ですかね?


とそんな妄想も、
妄想で終わるのか、実現するのか、考えてみたい今日この頃です!!!

これからもよろしくお願いします。
ご入居後にうかがうのが楽しみです!

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posted by 西久保毅人 at 22:44| 2022.6月の気付き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月13日

今しか見れない景色

先日、都内の賑やかな商店街で計画中の「各務さんの家」が無事上棟を迎えました。

神社に続く商店街なので、いろんな歴史が混在していて昔ながらでとても素敵な場所です。
将来1階で街の人たちと過ごせる飲食店をしたい、という想いをうけて
設計をさせていただきました!



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月とびの運営をしていたり、コロナ禍を経験してますます感じる事ですが、
店舗やギャラリー付きの住宅は、「住む」という以外にもいろんな可能性を
秘めているなぁ、、と思っていますので、こういうプロジェクトのお手伝いができて嬉しい限りです。

別に「店」にならなくってもいいんですよ。
将来、子供たちが巣立ってご夫婦だけとかになっった時に、
街とつながるきっかけとなる場所を持つ設計が大切なのです。


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さてさて商店街はどこもそれぞれ特徴があり、雰囲気が違いますが
この「松陰神社前商店街」は、世田谷線の路線であることもあり
とてものんびりしていて暮らしやすそうな雰囲気です。


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とはいえ、昨年から続くウッドショックやいろんな社会情勢によって
なかなかスムーズには進行せず、もやもやした進み方ではあったんですが先日無事、上棟!

もうここまでくればあとは大丈夫。


まだまだ以前のような盛大な上棟式宴会ができるような世情ではないのが
残念でしたが、そのかわりのんびりと上棟した現場にて、商店街の雰囲気を感じながら
のんびり過ごしました。ちょうどお天気にも恵まれましたので。

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いつも思いますが、この骨組みだけしかない建築の姿って実は建築の一番魅力的な瞬間なんじゃないかなぁ、と思います。
まだどの部屋にも役目も意味もない、骨組みだけの姿。

そんな空間から街を感じたり、空を見上げたりしていると東京なのに森の中の木の上にいるような気持ちになります。


各務さん達も感慨深く、いつまでも帰らずにそんな空間を楽しんでいらっしゃったんですが、
その日の夜のメールで、


「今しかみれない景色は宝物です」

という言葉をいただきました!

なんと素敵な言葉!

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そうなんですよねー。

最終的にはこの写真に写っている材料は
ほとんど全部、見えなくなっていきます。
もちろん完成させるために工事は進んでいくので当たり前の事ですが、
だから建築の現場は、毎日毎日「今しか見れない景色だらけ」なんです。


建築にかかわらず、たいていの仕事は「完成」や「納品」するために日々追い立てられてしまいがちですし、
もはや良いか悪いかとかよりも、「完成」する事が目標にすり替えわってしまうこともあります。

そんな社会に生きてると、
「未完成」である事そのものが、実はとてもかけがえなく、そしてたくさんの想像を引き立てるような
魅力的な瞬間であることを強く感じます。


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だからどうしたらこの「未完成であること」の魅力を、
最後の姿に投影させることができるだろうか?

というのを日々、考えています。



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そういえば、以前面白い話を聞きました。

日本では仕事が終わるという事は、100%の完成を意味しますし、そこを求められがちです。
そんな中、尾道の団地をホテルにリノベーションしたLOGというホテルがあるんですが、
このホテルをデザインしたのは、インドの建築家スタジオムンバイのビジョイ・ジェインさんです。

数年前にオープンしたので行ってみたんですが、
オープンしたのに、ところどころいかにも未完成のところがあって、それがとても不思議でした。
それを隠すでもないところが。

スタッフの方に聞いてみたら、

「そうそう、このホテル、ある意味未完成なんです。
 ビジョイさんが完成の時におっしゃった言葉が面白くて。

ビジョイさんは、
「このホテルはようやく無事に87%完成しました。残りの13%は運営しながら徐々に育てていきましょう!
だから、ビジョイさんにとってのこのプロジェクトの完成は、この状態でもありつつ、
同時にまだこれから変化していくというという事みたいですね!


との事でした。

それを聞いて、素晴らしい考え方だなーと思いました。
敢えて「未完成」を完成とする事で、まだまだ続いていくという事を感じさせるという事。

そもそも「完成」や「終わり」なんていう概念はないのだという事。




そりゃそうだよね、僕たち人間だって、日々少しづつ細胞が変化しているんだしね。


そういう意味では「未完成」である事は、建築が生物に近づくようなヒントなのかも知れません。


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まぁ、そんな妄想もしつつ、

「完成」

が楽しみです(笑)。

posted by 西久保毅人 at 12:01| 2022.6月の気付き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月28日

ケンチクと植物

小田原さんに月とびをお預かりしてはや4年目。

今年もヤマボウシの季節になりました。(暑くてもう終わりそうですが。)
ちょうど梅雨時期からヤマボウシのお花が咲き始めるのですが、
3年前のコロナ禍真っ只中の時に、あまりにヒマで商店街にお花を配りはじめたら
思いのほか、喜んでいただけたので毎年の恒例行事となりました。


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最初は、手で届く範囲を切ってたんですが、
どんどん木が大きくなり、しかもお花が案外上の方に咲くので
木の剪定も兼ねて、5mの高枝切り鋏を購入!

これが案外使いやすくて、高いところにも楽に届くので今年は大活躍でした。
写真のように女の子でもちょっとコツを掴めば高いところのお花を切ることができます。


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それを階段に並べて、、、、。

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けっこう見た目も華やかになり、
一人足を止め始めると次から次から。


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切っても切ってもあっという間になくなる日もありました。
なんでも必要とされる、って嬉しいものです!

しかもこちらとしては、ただ自然に生えているものを切ってるだけですからね。
旬の時期がある、っていう儚さも植物ならではかなー、って思います。
リース屋であるgtoyさんが季節ごとのお花を仕入れていらっしゃるのを見てても感じるのですが、
1年をかけていろんな植物の旬が巡っていき、終わったらまた来年っていうような、
建築にはない自然のリズムを月とびでは楽しませていただいています。


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この蔦も、
切ったら誰かがもらってくれるんでしょうか?

さすがにそろそろ床屋に行けっ、ていう
髪型になりつつありますね(笑)。


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実際は、敷地も密集地で70uほどと小さく、庭なんて呼べる場所はありません。
それでも残せる最大限の土の地面をなんとか残しだだけです。
蔦が生えている根元なんて、30センチ幅分くらいしか地面は残っていないのです。

30センチですよ、30センチ。

そんな地面からこんな世界が生まれるなんて。

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いやぁ、、、地球ってすごいなー、地面ってすごいな、という事を、
中野の商店街でつくづく感じる今日この頃でした!

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余談としては、このお花のシーズンの終盤。
拾っても拾ってもキリがないくらいに、街中に花びらが飛んでいく、、、、っていう
恐ろしい時期が来てしまうのですが(涙)。

そろそろ覚悟をしなくては、、、。

なんでも素敵なものを維持するには、大変さもありますね〜!





posted by 西久保毅人 at 01:12| 2022.6月の気付き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする