2021年01月01日

あけましておめでとうございます!

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今年もよろしくお願いします。
posted by 西久保毅人 at 07:00| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月08日

しっぽを振る牛

新年明けたと思ったら、東京は明日から緊急事態宣言です。
コロナ禍は、2020年で終わりだといいなーとぼんやり思っていたんですが、
残念。2021年も収束する兆しがなく、年始から出鼻を挫かれた感がありますねー。

出鼻、と言っても僕たちは設計事務所ですから、一週間とか1ヶ月という期間では、正直何にもできない商売です。
よくも悪くも。だから仕事上は急に、「じゃあ明日からデリバリー設計だ、UBER建築だ」、
なんていう事にもならないのです。僕たちの仕事は即興性や、即効性が著しく欠けた仕事だよなー、と昨年からつくづく考えます。
今考えている建築を実際にお施主さんに引き渡し、それが街に現れるのは、短くても1年以上先の事になるのですから。

だから、今の社会で起こっている事にも向き合いつつも、同時に1年以上先、そしてその建築が立ち続ける何十年も先の未来の
物語を同時に想像していかないといけません。コロナ禍が収束した先の未来。その未来は前と同じでしょうかね?
それとも全然違うんでしょうかね?

実は、今年でニコ設計室は、20年目を迎える事になるのですが、
10年目の2011年は、東日本大震災の年でした。そして20年目の今年は、収束の見えないコロナ禍の年。
10年ごとに、社会が大きく変わってしまうような出来事に直面するというのが、どうやらニコ設計室の宿命のようです。
しかもどちらも想像すらできなかったような事件ですので、事前に準備も対応もできるはずがありません。
でも不思議な事に、2011年に完成したISANAをはじめとした建築たちは震災後の人と人とのつながりを見直す未来を描く建築物として、
素晴らしい評価をいただくとともに、たくさんの素敵なご家族との出会いを加速させるきっかけになりましたし、
昨年、コロナ禍でステイホーム、テレワークを余儀なくされた新しい社会においては、
「ニコさんの家は、家にいるのに外や街にいるみたいだから、全然ステーホームが苦じゃないんですよねー」
というたくさんのお言葉をいただく事になりました。


正直僕は長い間ずーっとおんなじ様な事を考えているだけのような気がします。
例えれば1食を何度も何度も咀嚼する動きがのろい牛のようなタイプなのだろうなとつくづく思います。
あ、そういえば僕、丑年でした(笑)。

牛といえば、西加奈子さんの初期の小説「さくら」の中にさくらという名前の犬が出てきます。
嬉しい事、悲しい事、絶望、または平穏な日々。どんな出来事が家族に起きようとも、または起きなくっても
さくらはいつも変わらず家族に向かって全力でしっぽをふっています。
しっぽを振る、って日本語ではあんまりいい意味で使われる事のない表現ですが、
西加奈子さんはあとがきの中で「私は全力でしっぽ振ろうと思う どんな時でもちぎれるくらいしっぽを振ろう」
というこれからの決意のような事を書かれていました。

この小説は2007年に発売されていますので、かれこれ15年くらい前に書き始められたものかも知れませんね。
でもなぜかこの言葉が今の僕にとても、すうっと染み込んできたのです。

そんな訳で珍しく今年は目標とイメージが明確にできました。

2021年の僕の目標、それは


しっぽを振る牛になる どんな時でも全力で、ちぎれるくらいにしっぽを振る牛になるぞ!



です。

ではでは、ではよろしくお願いします(笑)。


posted by 西久保毅人 at 00:13| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月29日

今週末は、ひさびさのオープンハウスです。



ホームページやインスタの方には告知をしていましたが、
今週末の1/31(日曜日)は、久しぶりのオープンハウスです。


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グリーンハウスは、杉並区に計画した全部で6世帯のワンルーム、木造2階建ての共同住宅です。
それだけ聞くと、普通のアパートが頭に浮かぶと思いますが、
そうそう、そうなんですよね、
規模的にも、どこの住宅街にも必ずあるようなアパートの計画です。

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実はこの場所には、もともと「旧グリーンハウス」が建っていたんですが、その老朽化のために
設計をご依頼いただきました。

最初に、「そういえばなんでグリーンハウスっていう名前なんですか?」

と伺ったところ、実はこのアパートを建てられた今はなきお父様が、緑溢れる場所になってほしいという
願いを込めて建てられたのだと伺いました。
とても素敵なエピソードだなーと思いましたので、

「じゃあ建て替えても、グリーンハウスにしましょうね、名前。」

とそんなお話から設計をスタートしました。

でも、必要な広さの部屋をただ並べていくと設計自体はいろいろできるんですが、
なかなか、グリーンハウスっぽくならない、、、。

「うーむ、、、これじゃあ、グリーンハウスっぽくないよねぇ、、、。」

と言いながら設計していたのを思い出します。

そんなグリーンハウスっぽく、なんて別に頼まれた覚えもないし、きっと頼んだ覚えもないでしょうけど(笑)、
そんな事を一生懸命考えて作った共同住宅です。


共同住宅は、一軒家と違っていざご入居が決まるといつものように勝手にピンポーン、って
遊びに行けないのが寂しいところ。でも早く住む人決まってほしいしなぁ、、、、。
でも、グリーンハウスは、実は1階の一部屋は、オーナーさんが運営する貸しスペースになる予定なので、
その部屋はいつでも遊びにいけるみたいなので一安心。

近いので、こっそりニコのサテライトオフィスになるように、徐々に侵食していきたい今日この頃です(笑)。




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直前ですが、興味のある方は、ニコ設計室のホームページよりお問い合わせください。
コロナ禍で、緊急事態宣伝中なので衛生管理をしっかりしつつ、安心に過ごせる日にしたいと思っています。


以下は、インスタグラムへの投稿記事です。





posted by 西久保毅人 at 00:13| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月30日

共に進んでいくというカンカク



いよいよ杉並区で設計をさせていただいたグリーンハウスが完成して、今日は管理不動産会社である
タカギプランニングオフィスさんの内覧会でした。明日はニコのオープンハウス。

ハウスって行っても、賃貸住宅だからちょっと感じが違いますが、それでもオープンハウスって呼び方が
似合うかなー僕たちは。


さてちょうど去年の8月に、おんなじようなタイトルのブログ「共に進んでいる、というカンカク」をそういえば
書いたのですが、また似たような気持ちになったのでもう一回書こうかと思いました。


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今回のグリーンハウスは、アパートの建て替えでしたので、
オーナーの石原さんは、大家さん、という事になります。
だから自分が住むわけではないけれど、石原さんも、自分が住むかのようなつもりで
色々お打ち合わせをさせていただきました。

でも、ここが普通の住宅と違うのは、事業的にも採算が合わないといけないので、
お金の計算もシビアにしないといけないし、入居者の使い勝手や、退去後のメンテナンスなども
考えて進まないといけません。
そして、もちろん募集はタカギさんがしてくれるとはいえ、自分たちでもなんとかグリーンハウスが
素敵な人たちとの出会いの場になるように魅力を伝えていくこともしないといけません。


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僕たちは僕たちで、建築家としてグリーンハウスの魅力を伝えたい、という思いと同時に、
やっぱり、素敵な入居者の人たちに住んでもらって愛されるアパートであり続けて欲しいなーとも思います。

でも一軒家だったら、いつ行ってもご家族が住んでくれているけれど、
アパートは、入居後は、そう簡単に中を見ることはできません。
そういう切なさも感じつつ、だからこそ、素敵な人に出会って欲しい。


そういう意味では、石原さんにしても、僕たちにしても、
そういうもどかしさも抱えながら、愛されて欲しいっていう、
なんか嫁に行く娘の心配をしているような気分なのかも知れませんね、一軒家以上に。


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と、そんな訳でお互いに「自分が住む訳ではない」けれども、
「素敵な人たちに住んでもらえるアパートになって欲しい」っていう
なんか運命共同体みたいな気分になり、
最近は、お互いにインスタグラムなどで告知を発信したりしています。
お互いに下手くそながら(笑)。


でも、なんていうか、こういう風にやったことないし、プロではないけど、
前に進むようにやってみましょう!っていうカンカクはとても新鮮で嬉しいです。

頼む側、頼まれる側っていう垣根がどうしても仕事にはありますが、
そういうのを超えて、共に進んでいくというカンカクが持てるのはとても素敵な事。
グリーンハウスの完成を前に、そんな風に改めて思う今日この頃。



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これからもこういう関係が続いていくといいなと思いますし、
僕も積極的にあれこれチャレンジしていきたいなと思っています。


共にチャレンジしながら進んでいく、というカンカク。
住宅に限らず、そういう想いでものづくり、場所作りができたら
どんなケンチクでもきっと楽しいだろうなー。
そんなコトを教えていただいています。
どうもありがとうございます、石原さん。


これからも共に進んでいっていただける素敵な方々と出会えますように!
、、、まぁご想像より仕事できませんので失敗多くてよろしければ、、、ですが。

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posted by 西久保毅人 at 20:12| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月10日

反芻



先日、渋谷区のとても小さな敷地で計画中の貸店舗付き住宅「岸野さんの家」の地鎮祭でした。
昨年末から着工ラッシュです。


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さて、グリーンハウスでも、清水さんちでも、木元さんちでも山田さんちでも、
それこそ佐賀の江頭さんちでも。
それこそ独立以来、すべての設計をしていく中で、こっそり僕が裏テーマにしているのは、
地面をどう残すか?っていうコトです。

ば、バレてますかね、、、??


そんな誰に頼まれた訳でもないようなコトをコソコソ続けていると、
時々ご褒美のようなミラクルがおきます。

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じゃーん!!!!

めちゃくちゃ可愛くないですか??
オバQみたいじゃないですか??

これは、「地縄」と言って、工事を始める前に基礎のカタチを紐で地面に描くんです。
これをガイドに穴を掘ったり、建物の位置を再確認したりするもの。

まぁ、そんな実務的な話は置いといて、
めちゃくちゃ可愛いですよね!!!!
どう見てもこれから建物を作るとは思えない、キュートなカタチ。

もちろん設計者ですから、どんな基礎になるかなんてもちろん知っていますよ。
でも、知ってることと、実物を目にすることは全く違うんです。
だから、これ見て超感動しました。

さて、同時に僕に染みついている言葉を思い出しました。

「ケンチクってね、地面とどう付き合うか?って事なのよね、私最近ようやく気がついたの!」

これは、僕の前職の象設計集団の設立者である富田玲子さんの言葉です。
でも、本人も覚えてらっしゃらないんじゃないかなーって思います。
ほーんと、何気ない雑談をされている中でしたし、別に僕に対して話された言葉でもないんですから。

ちょうど僕が25歳くらいの頃。
もう20年以上前のことです。

ふとその言葉が耳に入ってきて、
しかもあまりに生き生きと、まるで子供が大発見の自慢話でもするかのようにニコニコと話されていたのが
とても印象的で、なんかすーーっと僕に染みついてしまいました。

いやいや、正直にいうとその瞬間は染みついたことには気がついてなかったと思うんですが、
その後、独立して仕事をしていく中で何度も何度も浮かび上がってきてしまう言葉。


この前、インスタにも書いたんですが意識しているとか、目標にしている、とかそういう類の信念的なものではなく、
本当に「浮かび上がってきてしまう」言葉。
もうそれ以来20年間、浮かび上がってきては反芻し、浮かび上がってきては反芻し。

まるで食べ物を何度も飲み込んでは吐き出し、またむしゃむしゃして飲み込んでは吐き出す牛みたいだよなぁ、
と自分でもつくづく思います(笑)。



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って思ったら、僕は実は丑年。
この僕の性格はそのせいかー!

今年は丑年だからこの地縄は「よくもまぁ飽きずにおんなじコトを考え続けているもんだ」という
記念のサプライズだったのかも知れません。



と、なんだか妙に腑に落ちた2021年のスタートでした。


この僕の変態気質はもう一生変わる気がしませんが、
この言葉のおかげで何年経っても、新しい敵に挑むような気持ちで仕事を続けられているのも事実です。
だって今の世の中、放っとくとどこでもかんでもコンクリートでべたーって草も生えなくしちゃいますし、
そしたらセミの幼虫出て来れませんし、、、


そしてこの言葉のおかげで出来上がった数々のケンチクが、
ニコ設計室を選んでくれるきっかけになっているのもまぎれもない事実。
おかげでたくさんの素敵な方々と巡り会えることができています。



そんな訳で、もはやこのまま牛として、牛らしく生きていこうとようやく決意した今日この頃でした(笑)。


posted by 西久保毅人 at 23:20| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月16日

大家さん



グリーンハウスもそろそろ貸室が埋まりそうだとの事!
賃貸物件のせつないところ、というか一軒家の設計と違うところ。
それは完成するとオーナーさんが住んでる訳じゃないから、

「ピンポーン! ちょっと近くに寄ったんでご挨拶に、、、。」

っていう具合に立ち寄る訳にもいかないって事です。
ピンポンしちゃったら、それはそれで不審者ですよね、、、。

という訳で、娘がヨメに行ったからには父はなかなか気軽には家に入れない訳で、
そのあたりがとてもせつない気分になる共同住宅。
先日、オーナーの石原さんも

「大家としてはもちろん借り手が決まるのは嬉しいけど、せつないなぁ、、。」
とインスタに書かれていました。

「オーナー」という言葉と「大家」という言葉。
言い方の違いだけで、意味はそんなに変わらないのかも知れませんが、
僕は「大家さん」という言葉がとても好きです。
そこからイメージする覚悟や世界のようなものが。


さて話は飛びますが、
実は僕の佐賀の母方のおばあちゃんちは「駄菓子屋兼、下宿屋さん」でした。

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エスエージーエーSAGA県の中でも城内地域といって
ちょっとマチの方だったので、
そんな商いが成り立っていたのでしょうね。
かたや僕が生まれ育った家の環境は、
田んぼか牛か、マジで噛み付く野犬しかいない有明海沿いの田園地帯だったので、
「佐賀の都会」であるおばあちゃんちに泊まりに行くのがとても楽しみでした。
駄菓子屋兼、下宿屋さんであるおばあちゃんちに泊まりに行くと、
不思議なことがたくさん起こったのです。

まず、夜になると知らない人が家のお風呂に入りに来ます。
まだ各部屋にユニットバスなんてない時代。
下宿屋をやっているおばあちゃんの家にとっては当たり前の事だったのかも
知れませんが、子供の僕にとっては、ただのナゾ、、、、???

「こんばんはー、お風呂いただきまーす!」

と毎晩、知らない人が玄関から入って来るのがとても不思議でしたが、
何よりそれを当たり前のように過ごしているおばあちゃんちがとても不思議でした。
知らずに開けると「ぎゃー」と女の人に言われたり、、。

住んでいる人たちは、僕の周りにはいないような派手めのおばちゃん達
だったように記憶しています。
時々朝になると、
「ほら、文鳥がたくさん生まれたわよ!!!」
とまた玄関から、お菓子の空き箱のフタにたくさんの生まれたての文鳥のヒナを並べた
金髪のおばちゃんが入ってきました。
「餌はこやってやるのよ、ほら。」
と注射器のような餌やり器を渡されたり、、、。


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今思うと、水商売のおばちゃん達が下宿に住んでて、
副業で文鳥を増やしてたんだろうな、、、、という想像ができますが、
当時はそんな事想像できません。
佐賀のおばあちゃんちは、ただただ不思議な未体験のできる楽しい家でした。

自分ちなのに、他者や街の出来事が少し入り込んできている感じ。
でもそれが慣れるとあんまり嫌じゃないというか、
このごっちゃ混ぜのような暮らしがとても開放的で心地よかったし、
おまけに子供にとっては天国のような駄菓子屋でもあるし、という
今流行りの複合的な商い暮らしの原型のようでもありました。
今でいう、シェアですね、シェア。

僕のおばあちゃんは、現代を先取りしたような佐賀んまちの大家さんだったのです。


だからかも知れませんが、僕の暮らしや家や街の理想像に、このごっちゃ混ぜで、
部分的にあいまいにシェアしながら成立しているような世界があります。
どこからが街で、どこからが他人で。
もちろん大事なところは守りつつ、絶妙に成立しているような暮らし。
そしていつもこういう世界を成り立たせているのは、
建築でもシステムや契約でもなくて
いつもそばにいる素敵な大家さんなのですよね、きっと。

以前、ISANA(イサナ)という共同住宅を設計させていただいた時、
「全部、将来私たちが住んでみたいような部屋にしたい」
と大家の下窪さんがおっしゃってくれて、各部屋の名前まで大家さんが決められました。


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ご主人のインド出身のバシストさんは、

「私の生まれたインドの地域ではね、家を作る時には自分たちが住む家と
 他人に貸す部分を同時に作るんです。
 最初は子供も小さいから、小さな家に自分たちは住んでおいて残りは人に貸します。
 だんだん手狭になってきたら、少しずつ貸している部分を少し自分の家族で使う
 ようにしていきます。そして、子供達が出ていったら自分たちはまた小さく住んで、
 残りを貸すのです。
 またそのうち、子供達が家族を連れて帰ってきたら、一緒に住めるようにしたりもします。
 そういう事がずっと続いて行くのです。」

とおっしゃっていて、
そんな物語が本当に起こるように考えて集合集宅を設計させていただきました。
実はこの10年の間に、入居者同士で結婚されたカップルが生まれたのも大家力の賜物でしょう。


グリーンハウスは、古いアパートの建て替えだったのですが
大家の石原さんが住んでいた人たちの事をとても
くわしくご存知で、まずそれに感動しました。
何よりグリーンハウスには元ニコのスタッフの細田くんが
住んでいて、それがご縁で出会ったのですから言わずもがなですね。
きっと、「大家さんをする」という事は、同居するかどうかは別として、
自分の人生に少しだけ他者を受け入れて、その人の事を
想像をめぐらしながら暮らす、という事なんじゃないかなーと思います。
だからそういう大家さんが作り出す世界はとても感動的で素晴らしいのです。

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そういう意味では、アパートじゃなくても自宅でAirbnbをして他者を受け入れる
暮らしをされている飯島さんご夫婦
も訪れるゲストに想いを巡らせ、
自分たちの生活を豊かにするスパイスにされていらっしゃいますし、
会うたんびに素敵なゲストとのエピソードを聞かせてくれます。

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「月のとびら」として家をお預かりさせていただいている小田原さんに関しては、
そういえば設計中から

「俺たちがいなくなったらさー、どう使われるか楽しみだよなー、この家」

と打ち合わせのたんびにおっしゃっていました(笑)。
だから現在、小田原さんの代わりに大家をしている事がとても心地よくて、
おかげで僕は毎週訪れるゲストの方々に暮らしの妄想をしていただいています。

この体験何かに似てるなーと思うと
それは前述した佐賀のおばあちゃんちでの暮らしなのかなと思ったり。

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そんな訳でグリーンハウス。
実は、1階の角の101号室は、大家の石原さんが運営するレンタルスペースになる予定です。
まずは石原さんのピラティス教室を時々されるそうですが、ご近所の方とか、
入居者の方達も予約していろんな用途に使っていただく予定だそうです。
全室でそれぞれの生活が始まった時が楽しみですねー。

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元々のアパートの時も、楽しく運営されていらっしゃったようですが、
さらに石原さんの中の「大家魂」みたいなものに火がついたんだろうなー、
と思ってとても嬉しく思っています。

アパートとか、マンションってとかく投資物件だとか、
利回り◯%ですからお得ですよーだとかで建てたり壊したり、
売り買いされている場合が多いのも現状です。
もちろんそういう資産運用的な部分も大事ですが、それだけだと
全然楽しくないっていうか、
それを満たした上でも、愛おしくなるような建築を作っていきたい。


だから僕は、「大家さん」になる、って覚悟を決めた人が大好きです。


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グリーンハウス、
楽しみな未来しかありませんねー。

posted by 西久保毅人 at 12:50| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月25日

おもしろ応援団

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朝、ふと浮かんだ言葉です。
忘れちゃいそうなので備忘録。

最近いろんなご家族とお会いしたり対話していると
喜んでもらえたり、背中を押したりすることもある反面、
特には、説明不足で悲しい思いにさせてしまうこともあります。

ほとんどの人にとっては家づくりにしろ、ケンチクを作ることにしろ
初めての事だから分からない事ばっかりです。
僕がこの先何十年仕事を続けたとしてもおそらく僕が出会うのは
そういう人達であることは変わらないのだろうなー。

でも20年前の僕にはできなくて、今は少しできるのは、
設計じゃなくって「応援すること」なのかも知れないなーとふと思ったのです。
正直言えば僕は面白がっているだけで、応援しようって思っている訳でもないのですが
そういう意味では、いろんな事が「おっ、おもしろいなー」って思えている訳です。

そしておもしろいなーって思えるから、結果的にそれが応援することになっているというべきかも知れません。



つまりは大切なのは、
家づくりにしろ、学生を指導する事にしろ、僕たちがすべき事は、教えるとかいう一方的な事じゃなくて、

ジャニーさんみたいに

「おもしろそう! YOU  やっちゃいなよ!」


って自信を持って言える事かも知れません。
まぁ自分の仕事には言うほどに自信はありませんが、
最後まで並走する自信だけはなぜか昔からあります(笑)。


並走しているつもりなのによく遅れをとりますが、、。


という、今日の気づきというか、おもしろ応援団についてでした。


posted by 西久保毅人 at 22:29| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月01日

ニコの、それからそれから、、、、。

家づくりの仕事の楽しいところ。
それは何を隠そうたくさんのご家族と出会える事です。

たくさんの街や敷地と出会える事や、職人さんたちと出会える事も魅力なのですが、
どっちか選べ、って言われると僕の中でのナンバーワンは、
やっぱり依頼主であるたくさんのご家族との出会いかなー。

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独立してまもなく20年になるのですが、それがこの仕事にいまだに取り憑かれている
原因でもあります。敷地条件はある程度似たものもあるんですが、出会うご家族は
本当に十人十色というか100人100色。
もちろん人間同士なのでやっぱり相性っていうのもありますが、
ご家族も100人100色のように、建築家も本当に100人100色なので、
きっとベストマッチングがどこかに必ずあります。僕とは180度も、200度も考え方の違う建築家の方も
世の中にはたくさんいらっしゃいますのでご安心ください。


さて、僕は小説やマンガが子供の時から好きです。要するに物語(ストーリー)を読んだり、想像したりする事が大好きで、
僕の人生、振り返るとほとんど小説やマンガに導かれ、勇気付けられてきたように思うのですが、(もちろんテレビドラマや映画も!)
家づくりの楽しいところは、なんといっても
ご家族の物語(ストーリー)に出会える事!
さらには、その土地とご家族の結びつきの物語です。
しかし残念ながら、大学の建築学科の授業ではこんな面白い世界があるなんて
おそらく知ることができないんじゃないかなぁ、、、。僕もそうでしたので家づくりの世界がこんなにも
興味深い物語に満ち溢れているなんて想像もできませんでした。

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どのご家族もみなさん自分の事を「ふつうなんですけど、、、。」って思われがちなんですが、
ほーんと僕にとっては出会う人出会う人すべて興味深くて、「ふつう」のご家族なんてどこにもいません。
そもそもふつうなんてありませんからね。自分が思ってるだけで。

だからみなさんが僕にとっては

「ふむふむ、それからそれから??」って聞きたくなるご家族ばかりです。

それもそのはず人が何十年か生きてきただけでも面白いのに、それがカップルになったり、家族になったり、
組み合わさったり、別れたり、、、ってするだけで本当にオリジナルの一大ストーリーだなーっていつも思いますし、
そんなプレイベートなご家族の物語にしばらくの間、寄り添えるのはとても特権だなーと
思います。

へー、そんな考え方あるんですねー。
へー、そんな職業あるんですねー。
へー、そんなな仕事の仕方考えもしなかったです。
へー、そんなお父様だったんですねー。
へー、そんな出会いあるんですねー。
へー、そんな場所があるんですねー。
へー、そんな食べ方あるんですねー。
へー、そんな調理法あるんですねー。
へー、そんなにお酒飲むんですねー。
へー、そんな音楽あるんですねー。
へー、そんなライフスタイルあるんですねー。
へー、そんな人生あるんですねー。

と、知れば知るほど「へー」ばっかり。とても楽しいのです。


さて、
物語には、完結するものもあれば、続・指輪物語とか、ドラゴンボールZ、とか
完結したはずの物語の続編が始まる事もありますよね。


とはいえ僕は家づくりは大変なお金がかかりますので、案外一話完結形式なんですが、
長く続けていると時々思わぬ形で、続・家物語が始まる事が時々あります。


ご家族の「さらにそれから、それから、、、」にまたおつきあいできるなんてもう、
なんという幸せ!


家づくりの仕事の楽しいところ。
それは何を隠そうたくさんのご家族の物語と出会える事。
そして描いた物語はずっと続いていくという事なのです!

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それから、それから、、、。
posted by 西久保毅人 at 13:54| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月29日

必殺仕事人!



今の世の中、いろんなウエブサイトやサービスができていて
僕たち設計事務所を紹介していただくためのサービスもたくさん生まれています。

僕も知ってますよ、もちろん。。。。

そしてそういうサイトを活用するのがいいに違いない!っていうのも
もちろん知っていますし、その方がいろんな方との出会うチャンスが広がることも知っています。

でもですねー。
そのためには写真をアップしたりとか、キャプションを書いたりとか、、、、っていう
何かしらの「ひと手間」っていうのが必ず必要でしてそこが僕みたいなグータラ設計事務所には
腰が重いのですよねー。
なので、ご紹介いただいたり、掲載しませんか?っていうお電話やお話まではいただくので、

「マジっすかいいっすねー!!!!」

ってまでは思うのですが、電話を切った瞬間、気がつけば1ヶ月、2ヶ月、、、、。。

まぁ、そんなもんです。
設計事務所なんて。

という訳で、存在は知ってるけど、そういう所にほぼ掲載せず、掲載している所には、

「ニシクボさん!、あんまりアップしないと、もう潰れたのかと思われますよ!!!」

とご指摘をいただいたりするのですが、それでも一向に動く気配のないニシクボさん。。。

そんなある時、プラナビさんという所から連絡をいただきました。
でもそんな状況のため、まぁ話は聞いても同じように掲載することはないだろうなぁ、グータラだから、、、と
思っていたのです。

でも、このプラナビで会いに来てくれた安川さんという担当の方が超〜〜〜がつくほどミラクルに優秀で。

お会いした時、

「でもですね、、、同じように誘われても、大抵電話切ったら忘れちゃって結局何にもやらないので
 おんなじだと思いますよ、、、残念ながら。」
と正直にお伝えした所、


「いやいや、そんなのはもちろん言われなくても知ってます。
 設計事務所って、多かれ少なかれそんなもんです。

 だから、、、、、、、、私がやるんですよ!!!!! い、ま、か、らっ!!!!!」


と、初回にあったばかりなのに、目の前で開いたパソコンでパチパチパチパチ。

圧巻!


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とそんな訳で、
出会ってからなんと2週間足らずで、なんだかニコ設計室のホームページよりも
見やすいページができてしましました!



正直、僕、何にもしていません。

なのに、ニコ設計室のホームページから適切に写真を抜き取り、だらだらと長すぎる文章もノーチェックで
品良く短くまとめていただきました。
実は、僕は結構、設計に限らずとも他人の仕事にはいろいろチェックしちゃう方で、直したくなることの方が多くて
周りの人にいつも「イラっ」っとさせちゃうタイプなんですが、(自分は何もしないくせに、、、。)
この仕事に関しては、なんていうか、完璧!

一言も文句ないどころか、感動してしましました!


いやぁ、すごいなー。


安川さんの仕事ぶりは、目からウロコでもあり、
学ぶところがとても多かったです。


必殺仕事人って感じでした(笑)。
建築家としてもこうありたいものです。
posted by 西久保毅人 at 23:27| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月08日

玄関食堂に春が来た!

新年度ですねー。

ニコも春から勢いのある若者たちが入れ替わり来てくれて、
今までになく若々しいニコ設計室になりつつあります。


さて、そんな幸先のいいスタートとして、
ちょうど先週末、の「渡辺篤史の建もの探訪」の撮影がありました!

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下見の時は、まだまだ葉っぱのなかった紅葉も、
暖かな1週間であっという間に若葉をつけてとても綺麗!

植物も、テレビに出るというコトでここぞとばかりに張り切ったのでしょうかね?
そんなくらいの急成長でした。


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まぁ、撮影中は、いつものように
新さんご家族以外は、外に締め出されていますので中で何が起こっているのか?さっぱり分からず、
笑い声だけが聞こえて来ます。

この番組は、本当に渡辺篤史さんはぶっつけ本番でいらっしゃるため、
中がどんな間取りか、あと何部屋あるのか、とか全く情報がないそうです。
だから、途中、あんまり1階で長い時間盛り上がっている声が聞こえてくるので、

「うーん、まずいなぁ、、、。渡辺さん、1階だけがメインの普通の家だと思って楽しんでるけど、
 この家、2階にも、3階にも見どころたくさんあるからこのペースでは絶対時間内に終わらなそう、、、。」

と嘆いていらっしゃいました(笑)。


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案の定、
撮影は、予定時間をオーバーしましたが、
それだけ楽しんで家の中を冒険していただいて嬉しい限りです。

取り過ぎならば、前編、後編の2本立てにしていただいてもいいんですけどね!




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放映予定日は、
5/15(土曜日)とのコト。

是非是非、楽しみにお待ちください。


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posted by 西久保毅人 at 00:17| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月16日

「ウチくる?? 外だけど。」

よーやく対面での大学の授業が始まりました。

毎年2年生の最初の課題は、「外のある家」というタイトルです。

わざわざ言うまでもなく、どんなケンチクでももれなく外はついてくるのですが、
それを意識するのは、なかなか難しいようです。

僕なんか、むしろウチ側いらない派なので(笑)、ご提案時にウチ側が少なすぎて
いつも「、、、、、。」となるのですが。

特に、今年の2年生は、実は大学の最初の一年間をほぼリモートで、外出禁止で、ステイホームで過ごさざるを得なかった子達です。
そんな誰も経験したことのない一年間を過ごした彼らにとって、「ソト」ってどういう存在なんでしょうね?

これからそれを一人一人引き出していくのが楽しみです!


posted by 西久保毅人 at 23:11| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月01日

出会いとその後の物語

僕たち設計事務所って、
家づくりやリノベーションのご相談はたくさん受けるんですが、
相談を受けたからといって、全てが実現するわけではありません。

案外、一回会ったっきりっていう場合も結構多いですし、
一回会って、随分長い間、音沙汰ないのでどこか別の設計事務所などで家を建てられたのかなー?って
思っていると、3年後くらいに、

「よ、ようやく希望の土地が決まりました!」

って改めてご連絡を頂くという場合もあります。

僕の方はやる気満々でも、

「やっぱり別のところで進めるコトにしました。」

っていう残念なご報告をいただく場合だってもちろんありますが、この連絡に限ってはしていただく場合と、ない場合がもちろんあります。
断る連絡だからない場合の方が多いかもなー。
僕だったらどうするだろう?? しないかも知れません。


さて、最近はインスタグラムなどのSNSがきっかけでご相談を受ける場合も増えてきましたので、
上記のようなご相談だけで終了した方とも、仕事の関係はなくても
ゆるーく繋がっているケースもあります。

先日、ふとインスタグラムを見ていたら
結局、僕たちが設計できなかった方のストーリーに

「無事、新居のリフォームが完成し〇〇の雑誌に載っていまーす!」

というような記事を目にする事がありました。
設計や工事をしてくれた方への感謝のメッセージも添えられていました。

きっと満足のいく家づくりができたのだろうなーと思うと、とても嬉しい気持ちになりましたので、
僕も数ヶ月ぶりに

「おー、おめでとうございまーす!!!」

とメッセージを送りました。

仕事としては設計を頼まれるかどうかが大事ですけど、
人との出会いに限定すると、それはあんまりどうでもいい事だなぁ、、、、と改めて思いました。


むしろ設計せずに、そのご家族の未来が楽しめると思うと、、、、、、
こっちの方がお得かも??(笑)。



そんな訳で、
いろんなご相談は、絶賛うけたまわり中でーす!
僕に頼むかどうかは、ともかくとして。。。。


posted by 西久保毅人 at 16:51| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月12日

5/15(土曜)放映の「渡辺篤史の建もの探訪」新さんの家が!

ちょうど完成して3年経って、超〜良い感じになっている新さんの家が、
今週末、5/15(土曜)のテレビ朝日「渡辺篤史の建もの探訪」にて
放映予定です‼︎



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敷地は、69uで、住宅密集地の木造3階建ての住宅という、
とても典型的な都市住宅の問題がてんこ盛りな設計だったのですが、
新さんご家族の人間力により、のんびりと街と連続した住宅になりました。


さっき見た建もの探訪のHPの来週の予告によると、

「無限に広がる迷宮の家」

って書いてあったんですが、まさにそんな感じ‼︎
さすがプロは上手い事言いますね(笑)。

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設計が良いだけでなく、、、、、、
3種類の雰囲気の違うハタノワタルさんの和紙バリ仕上げや、
部屋ごとに違う色や素材など、見どころ満載ですので30分で放映できるものかどうかが心配。

2話に分けていただいても良かったんですが、、、、。


そんなわけで
ぜひぜひご高覧くださいませ‼︎




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posted by 西久保毅人 at 23:30| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月21日

大きな一手を打たない

先週末の「渡辺篤史の建もの探訪」で新さんの家を放映していただきました。

ちょうどまる3年経つのですが、設計していた頃はコロナのコの字もない時代。
でも、この時代に見ると、ステイホームやリモートワークもとても楽しめそうな家だなーと
つくづく思いました。

さて、以前、新さんの家について講演会で説明する機会があり、
設計内容を噛み砕いて伝えてみる、といういつもしないような事をしたことがあります。

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よくニコの設計は複雑だとか、斜めや曲線が多いとか、訳がわからないとか、テキトーだとか(笑)、、、
言われることが多いのです。

いつも「へーなるほど」と思いながら聞いているんですけど、
それを解きほぐすと、案外面白いことも分かるのです。
例えば、「開放的にしたい」とした時に、「じゃあ大きな窓を開けましょうね」っていう解答だけだと、
結局、住んだらカーテン閉めっぱなしになっている家が多いのに気がつきます。

要するに、「開放的」を「大きな窓」っていう大きな一手で解決しようとしている例ですね。
もちろん別荘とか、山の中ならこれが効果的な場面も多いですが、密集した都市住宅では実はそうはいきません。

そんな時、「開放的」というキーワードを大きな一手で解決しようとするのではなく、
小さなしつらえを「層」として重ね合わせる、というのが実は効果的です。


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そんな層状のしつらえを、敷地の法律的な条件、環境的な条件の中でどのように重ね合わせることが
できるか?っていうのが僕は大切だと思っているのです。

そうすると、一つ一つは弱いしつらえでも、重なることで奥行きができ、なんだかぼやーんとしているけど、
確実に守られているようで、確実に繋がっているような、そんな状況が作れるのだと思っています。

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それは、スクリーンだけでなく、内部の連続感もおんなじです。

一箇所だけぼーん、と吹き抜けがあるような大きな一手ではなく、
ちょこちょこちょこと小さく、大きくつながり続ける。



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ちょこちょこちょこちょこ、、、。


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くるくるくるくる、、、、、という具合に。


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でも正直に言うと、
まぁ、これらは僕の閉所恐怖症の現れ(笑)。

とというオチでもあるんですけどねー、、、。



そうそう、実は、日常生活における自分の性質上の欠点やコンプレックスって、仕事の役には逆にたつんですよー‼︎

という話でした。

欠点バンザイ‼︎


おしまい(笑)。

posted by 西久保毅人 at 12:06| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月27日

ケンチク山

いつ頃だったかは、よく覚えていませんが、
ある時から、建築の仕事をしている事を山登りになぞらえて考えられるようになりました。

例えるならば、ケンチク山っていう大きな全体像も見えないような山があって、
そこをいろんな方向や、ルートや登り方でみんな登っているんじゃないだろうかと。

そして、どんなに有名な建築家も、歴史上の人も、大工さんやペンキやさんも、
建築を志す学生も、そして僕自身も、登り方やとっかかりや立場は違えども、
実はおんなじ山の山頂を目指して進んでいるのには違いがないのかなーと。

そして別に山頂まで登らなくても、途中で別のルートで登っている人がチラチラ見えたり、
まったく違う人種だと思ってた人が、実はおんなじ山を別の登り方で登ろうとしてるのが
チラッと見える場所があったりすると楽しいなーと。


とはいえ僕は、実際の山登りにはあんまり興味がなくて、山より海派何ですけどね(笑)。


でも、こういう風にある時ふと考えられるようになった時に、
気持ちがずいぶん楽になったのを覚えています。


「ふふ、
 憧れのあの人も、あの人も、、、、、結局はみんな同じ山を自分なりの登り方やスタイルで
 同じ山を登っているかも知れないな。じゃあ僕は、やり方も登り方もヘンテコだけれども
 もしかしたらいつの日か山中の登山道で出会える瞬間があるのかも知れないなー。」


さて本当にそんな山があるのか、ただの妄想なのか?
山って言ってもこういう形かどうかさえよく分かりませんし、山のことまったく知らないので自覚はなくても
すでに遭難していて、気がついていない可能性もあります(笑)。


でもこんな風に若い頃に思えたらずいぶん気楽だったと思いますが、
48歳の僕でさえつい4、5年前にどうやらケンチク山があるかも知れない、という仮説にようやく
気がついた程度です。

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そんな今、僕にとっては子供の年齢でもある20前後の学生を大学で教えているのですが、
先日偶然にも、ある先輩の先生も同じように建築の勉強を「登山」になぞらえて説明されている事が分かりました。
どうやらケンチク山というのは、実在しそうです。

でもなぁ、、、。
この山、大き過ぎて彼らは山にいることすら気が付かないだろうなぁ、、、、、とも同時に思うのです。
20歳の僕だったら絶対に気がつかないな。
隣の席の優秀なやつと自分がまさかおんなじ山を登ろうとしているなんて夢にも思わないでしょうし、
いろんな登り方、ルート、楽しみ方があっていいんだなぁ、、、なんていうのは、ヘリコプターで上空から見てみないと
分からないのでは?っても思います。


でも少しでもいろんな登り方、楽しみ方があることを伝えることで山登りを続けてくれたらいいなーと思う今日この頃。
そしていつの日か、別々のルートで登っている彼らと山中で出会えたら最高です。


まぁしつこいようですが僕は、
山派ではなく海派なので山で出会う確率はゼロに近いですけどね(笑)。


ああ自己矛盾。

posted by 西久保毅人 at 13:45| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月10日

あきらめるために描く


たまたま気づいたので忘れないうちに。


ちょうど設計中の住宅にて。
多分、次のお打ち合わせで基本設計が決まるかなーという段階で、
二つのプランで迷っている。
迷っているって言ったって、僕の家ではないので僕には決定権はないのだけれど。

一つは、御施主さんの今までいただいた言葉やつぼノートのイメージにとても似合うよなぁーって思えるプラン。
でも、ちょっと収納とか、その他の要望を叶えることができなさそうでもある。
もう一つは、キュートさはちょっと欠けるものの、御施主さんの求めてる暮らしにとてもかなうし、機能的なプラン
冷静に見比べると、明らかに後者の方が住宅として優秀なのは歴然としている。
でも正直、僕はどっちも魅力的で好きなプランだ。

どっちがいいとか、悪いとかっていう話でもなくて、
どちらも御施主さんのイメージを具現化したものだから、どちらもとても御施主さんに似合うプランだ。
でも、見比べちゃうとおそらく前者は選ばれないだろうなぁ、、、、っていう確信もある。

本当に設計というのは、ひとつしか選べないというところが切ないよなぁ、、、ともう独立して20年も経つのに思う。
そして、明らかに頭では後者が良いとわかっているにに、どうしても前者の空間の魅力も捨てられない自分もいる。
もう20年以上もやっているのに自分でも呆れる。

図面はどちらもCADで書いていたのだが、ちょっと気分を変えて手書きで書き直してみた。
もちろん、どっちも。
それはそれで時間も2倍かかるし、余計な作業でもある。

さて両方書き上げてみて、あぁやっぱり今回は後者を勧めるべきだよなぁ、、、と思う。
これは諦めるために描く、という作業だったのかも知れない。

結果は分からないし、時間は2倍かかるけど、
この無駄な作業があるからどちらかを諦められる。先に進める。


そんな事ばかりしている。
でも実はまだ、どちらも諦められていないのだ(笑)。

posted by 西久保毅人 at 23:14| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月16日

紫陽花祭り

先週末から、月のとびらにて、紫陽花のリースの展示販売が始まりました。
主催してくれているのは、gtoyの優子さんと厳太郎さんご夫婦です!


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ちょうど去年のクリスマスの時期にクリスマスリースのワークショップをしてくれてから
とても親しくさせていただいています。
月のとびらの植栽を相談したり、突然大きな観葉植物を持ってきてくれたり、植木の面倒をみてくれたりと
植物愛に溢れるお二人。
ちょうどコロナ禍で、月とびの1階空いてるので何かしてくれないかなーと妄想していたんですが、
この6月の梅雨の時期に合わせて、紫陽花のリースを作りながら販売するというイベントを6月の週末にしてくれることに
なったのです。

日程については、こちらかニコのホームページをご覧ください。


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それとは別に、去年からこの時期になると、ヤマボウシの木がモリモリとお花が咲いてですね、、、、。

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僕も毎週滞在しててヒマだし、本当に咲きすぎるくらいに咲くので、ただ散るだけにしてはもったいなくて、
せっかく商店街なのでヤマボウシのお花を切っては、鍋にさし、切っては鍋にさし、、、
と道ゆく人にあげることにしました。
それが、実は1年を通してどのイベントよりも一番好評で(笑)、
飛ぶようになくなるんです!
しかも、なんだか街のおばあちゃんに大人気。

「去年も配ってたからそろそろかな〜、と思って」というおばあちゃんもいれば、
「先週ももらって飾ってたんだけど、またもらいにきちゃった!」というおばあちゃん。
「ちょうどこれから病院にお見舞いに行くから、一ついいかしら、、、。」というおばあちゃん。


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ただ無駄に咲いているだけなのですが、喜ばれるって嬉しいなぁー、と
設計した建築を喜ばれるよりもなんだか嬉しい今日この頃。
このままお花配り屋さんになろうかな、、、、。


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と、そんな事をして毎週遊んでいたのですが、
6月からは、gtoyさんが自分ちで育てたローズマリーとラベンダーも毎週持ってきてくれる事になり、
二人のアイディアで6月の週末は、ヤマボウシとラベンダーとローズマリーを花束にしてご来場の方には
プレゼントすることになりました。

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これが、gtoyの優子さんと厳太郎さん。

「優しくない優子と厳しくない厳太郎です。」

というのが、彼らのキャッチフレーズみたいです(笑)が、本当に素敵な二人なんですよー。


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と、そんな訳で、
ジメジメした6月ですが、その季節に似合うような紫陽花の素敵なイベントを6月の週末は毎週開催しています。
お時間あれば、ぜひいらしてくださいね!


そしてこの季節のお花配りはとても楽しいので、
来年以降もぜひ紫陽花祭りと合わせてやりましょうねー、小田原さん!

また今週末も楽しみです。

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posted by 西久保毅人 at 23:17| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月07日

世界一小さな家が教えてくれる世界の動向

もうかれこれ8年目の飯島さんの家。

この記事は、2年前くらいに取材していただいたフォーブスジャパンの記事なんですが、
なぜか不思議とたまーに、人気記事の上位に浮上してきます。



「ま、また2位に浮上してますよ!!!ニシクボさん!!!」

と、記事を書いてくれたフォーブスジャパンの石井節子さんから慌ててお知らせがありました。
これまでも数回、謎の急浮上があったのですが、
こういう記事って、今の時代、どんどん古い記事は消えていくのでとても珍しい現象との事でした。


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コロナ禍っていつまで、どうなったら終わりなのか?
そういえば杉並区では40歳〜59歳はワクチン一番最後なので
まだまだ僕には順番は回ってこない模様。

でも、知り合いのドイツ在中の方は、昨日久しぶりに日本に帰国されたとのことだし、
今、月とびの民泊予約もぼちぼち回復しそうな雰囲気です。

日本は地球の中ではちっぽけなので、世界の動向が本当はどうなっているのかよく分かりませんが、
こういう記事があらためて注目されてるってことは、
ずいぶん旅行とか行きたいなーと思う人が回復しているのかも??


などとこの世界一ちっぽけな住宅の記事が、世界の動向を教えてくれるような気がしました(笑)。

えらいえらい!


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嬉しいことですね〜!
飯島さん!!!


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海外はまだ不安でも、日本でちょっとリフレッシュしたい方には、
ぜひおすすめですよ〜!!

ご予約はこちらより



posted by 西久保毅人 at 15:59| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月08日

楽しみ、いろいろ

工事中の現場は、しばらく囲いがあってベールに包まれているんですが、
現在、8月、9月にそれぞれ完成に向けて現場が進行中!



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まずは、8月の完成に向けて追い込み中の小池さんの家。
あーでもないこーでもないと検討した結果、

「もう、絶妙〜にそっぽ向いてるね!」

でお馴染みの外観になりました(笑)。
密集地の中での家の中からの視線や、街の中での佇まいをあれこれ考えていると
どうしても斜めに視線の抜けていくような外観にたどり着くのですが、斜めって言っても
面している部屋が違うんだから二つあれば、それぞれ役割が違うでしょ、
と僕は思うのですが、、、、。


ちゃんと完成して現れるのが楽しみです。
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さて、小池さんのおうちは、
階数で言うと3階建てなんですが、
いろんな高さに床や、テラスがあるとても立体的な空間です。


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そしてなんと、1階にある洋風に言えばリビングと呼ばれるような居間は、
全面夢の畳敷!!!!
畳好き芸人としては、毎回提案しては却下され、提案しては却下され、
それでも一部でも、こそっと提案し続けお情けで採用していただてきたのですが、
やり続けた甲斐があるってもんです!

これもまた楽しみ!

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移動していると今までのおうちのいろんなシーンを連想するような、、、、
それでいて初めてチャレンジするような試みもたくさんある小池さんの家。


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そして、ニコには珍しく
今年4月から二人の新人さんが入社しました。
これも実は、ニコ史上初の出来事です。

細根美月さんと岩下沙紀さんと言うのですが、すでに現在いろんな現場に行って活躍中。

関係者にも恵まれ
施主である優しい小池さんご夫婦や、話を聞いてくれる現場監督さん、大工さんにも
恵まれて、初めての現場で奮闘してくれています。


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そうそう、建築の設計の仕事は絶対的に現場でものを見る事が欠かせません。
図面に描いてる線が、何を示しているのか?
何気なく引いた線が、出来上がるとどうなるのか?
選んだ見本の色がどんな発色をするのか?
それがいいと思ったのか、ダメだと思ったのか?
こればかりは、体験と想像を繋げていく作業が重要です。

そういえば僕は実は社会人一年目は、幸運な事に大きな現場に一年間住み込みで働かせてもらいました。
その当時は、ありがたいともなんとも感じなかったんですが、
その1年間のおかげでようやく建築の第一歩を踏み出せたと思っています。
その1年がなかったら、建築の仕事を続けられなかったかも?というくらいの財産です。



しかしさすがに住宅の現場で一年間現場に住み込みで働かせる訳には、、、、、、、(汗)、
いかないのですが、フレッシュな目でたくさん見て、たくさん感じで、
成長してくださいねー。

まぁ、希望すれば現場に住み込みでもいいけどね、、、、いい季節だし。


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しかしほんとにまだ3ヶ月とは思えないくらいに頼りがいのある二人!
これからがとても楽しみです。


でも正直言うと、、、、、ここに全面敷かれる畳が、僕は一番楽しみです(笑)。


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楽しみー。
posted by 西久保毅人 at 23:47| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月16日

境界の溶けた世界

もう、明日っていうか、今日っていうか、
7/17(土曜日)の渡辺篤史の建もの探訪に「齊藤さんの家のリノベーション」が放映予定です。

建もの探訪でリノベーション、って珍しいかも知れませんね。

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さて、斎藤さんちはちょうどお引っ越しされて5年目になります。
前は、設計させていただいたおうちが完成したら、

「すぐ見せたい、すぐ見せたい!」

って思っていたんですが、僕も歳をとり(笑)、設計させていただいたおうちも年を重ねていくのを
見ていると、

「いやいや、家はすぐ写真撮ったり、取材してもらったりするよりも何年か後の方が圧倒的にいい」

と思うようになりました。
ほんとにそうですよ!

植物もいい具合に成長し、家の素材も新築の頃に生々しかった無垢の木などが飴色に変色し、
ある時、ご家族の生活や、持ち込まれた大切な家具などと同調始める瞬間が訪れるんです。

齊藤さんちもまさにそんなタイミングでの撮影でした。

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そして何よりも僕の仕事はとっくに終わっている訳ですから、
うかがうのも気楽ですしね(笑)。
ただただ、家を感じにいくだけなのです。
うーん、贅沢!



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さて、齊藤さんちは毎回うかがう度にちょっとした家具や棚が増えていたりします。
どのおうちもそうですが、みなさん決まったご予算での家づくりですから、
最初の段階で全てが叶うような家づくりなんて一つもありません。
そのため、何かしら希望していたものが叶わないケースがほとんどです。

齊藤さんちも同様だったのですが、齊藤さんたちがすごいのは少しづつ自分の気に入った家具や棚を作られている事です。
小さなものから始まった齊藤さんの日曜大工ですが、そのうちかなり火がついて今ではかなりの腕前!

僕も今では、

「これ、買ったものですか?作ったもの、、、?まさかね、、?」

と思わず聞いてしまいたくなるくらいです。
だからこれらの写真を見ても、どこがプロの大工さんの工事でどこが齊藤さんの仕事か、、、おそらく
見分けがつかないと思うんですよね〜。

別にそんなに大きなお家じゃないのでそんなに作るところある??って僕も思うんですが、
ほんとに「作りながら住むのを楽しまれている」というのがぴったりの齊藤さん家。

「もうやりたい事が終わらないんです〜!」

は奥様の口癖です(笑)。

だから、経年変化に加えて行くたびにどんどん素敵になっていく齊藤さんの家。

齊藤さんのおかげで、僕たちの仕事も5割増くらいに「盛って」見えるのでこれ以上の嬉しいことはありませんよね!
やはりニコは相変わらず施主力さまさま。
設計者の欄に、もはやサイトウデザインって入れた方が良いかも、、、、知れません。

そしてそういう意味では、家ってどこかが「欠けている」状態でお引き渡しをした方が、
家づくりの「終わり」がなくなっていいのかも?って思うのです。

「欠けている」ってマイナスな状態ではなくて、
これからもどうとでもなれる、という未来に溢れた状態なのかも知れないなーと
他の家づくりを通しても感じることでもあります。


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さてさて、
家の設計とは関係ありませんが、齊藤さんちには最初から猫がいます。
猫のいる家って最近増えてきたんですが、そういう家って窓を閉めっぱなしが多い気がします。
齊藤さんちが素敵なのは、在宅の時は猫がいても割と外とつながる窓を開けっぱなしで過ごされている事です。

それは家の猫のため、っていうのともちょっと違って、
「近所の野良猫たちがちょこちょこ遊びにくるから、開けて入れてあげているんですよー、」との事でした。

僕がいる間にも、常連風の野良猫がスーッと入ってきてました。
入ってくるとちょこっと餌を食べたり、遊んだりしつつ、いつの間にかいなくなります。

そしたらまた別の野良猫が、、、、。

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齊藤さんも慣れたもので、
家の猫と近所の猫たちを全く分け隔てなく扱われています。
それぞれの野良猫用の餌のお皿もありますし(笑)。

動物と人間の関係って、こんな感じでいいのになぁ、、、、。

微笑ましく野良猫がご飯を食べている姿を見ている齊藤さんを見ていると、
ほーんと素敵な方だなーって思いました。


どれが家猫で、どれが野良猫か?

誰が建築家で誰が施主か?

どこまでがプロが作ったもので、どこが齊藤さんが作ったものか?

そんな境界なんて、ほんとはどうでもいい事ですし、
その境界が溶けてしまった姿こそが、僕が大好きな世界です。


そんな齊藤さんご夫婦には、
どこまでが家で、どこまでが街かが分からなくなっちゃうようなこの家がぴったりだなーって
思って、ほんとに嬉しくなりましたよ。


ではあと数時間後、放映が楽しみです!
posted by 西久保毅人 at 22:14| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月17日

建もの探訪がゴルフに負けちゃったので、、、。



西久保です。
昨晩、ノリノリでブログを書いたのに、
なんと、全英オープンゴルフの試合が延長放送になったため、
「齊藤さんちのリノベーション」の放映は、急遽中止になったようです。


録画予約をされた方、
おそらく何にも映ってなかったでしょう、、、、すみません。


そんな訳で、早速来週7/24(土曜)に放映になりました、との事です。


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7/24(土曜)かー!
今度は、オリンピックの緊急激論番組とかがないといいけど。。。。


でも、僕もこういう事態は初めてだったんですが、
楽しみを持ち越す感じは悪くないなぁ、、、と密かに思いました。


ではではー。
posted by 西久保毅人 at 17:33| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月28日

残すべきもの

目の前はもう8月ですね。


先日、もうすぐ完成予定の小池さんの家にて、
セルフ和紙貼りとセルフ塗装を小池さんご家族と行いました!

超〜暑いので水分補給は多めに準備して。。。

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そうそう実は、この4月からニコは新体制で、
嬉しいことに
新しい若者スタッフ2人と、アルバイトの大学生などもちらほら来てくれるようになりました。
同業者の間では、設計事務所で働きたい若者がいない、求人しても来てくれない、
などの嘆きをよく聞くんですが、夏のインターン希望者ももうほぼ満員状態。

どうしてなのか分かりませんが、とても嬉しいことです!


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新人スタッフの細根さんと岩下さんは
飲み込みが早くて結構いろんなことに慣れて頼もしいんですが、
とはいえまだまだ1年生。

ニコでは恒例の
こういう御施主さんと一緒に施工する、っていうイベント自体が
初めての経験なので、準備から何から初体験でした。

「養生って何??」

「マスカーって何??」

「ハケは何用と何用がいるの??」

「カッターなんてどの場面で使うの??」

「現場監督さんには何て伝えればいいの??」


やった事がない事を、想定する、って一番難しい事だと思うのですが、
一生懸命想像して、先輩に話を聞いて、また想像して、、、を繰り返して、なんとか当日を迎えました。


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これからの時代、どうなっていくのか分かりませんし、
最近は「もう完全リモートで会社行かなくって楽だよ!」
って人の話もたくさん聞きます。

僕もどうすべきかという設計事務所の未来をいつも想像するんですが、
僕は、建築が人が過ごす場所である以上、自分の肌で感じたカンカクを現場で身につける事は絶対に失ってはいけないと
思っています。

その素材を触ってみる、貼ってみる、塗ってみる、失敗してみる、
そして後片付けをしてみる、、、、、
という超原始的な体験にこそ、最高のクリエイティブの種があるからです。

織田裕二じゃないけれど、

「事件は現場で起きてるんだよ、室井さん!!!!」

と思いますし、その経験があるからこそ、
「じゃあ次はこうしよう!」とか「次はこうしてみると面白いかも?」
みたいな次の発想が生まれてきます。



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建築を作ることは、
理屈じゃなくて、たくさんの理不尽さや不都合さを受け入れていく事です。
それは決して大学の机上の勉強では身に付かない事でもありますし、
どんなに学生時代に優秀な学生でも、そこで折れて建築の世界から離れていく人も多いのが現実です。

でもそれは全然マイナスのことじゃありません。
むしろ、その現実と理想のあいだに、最高に感動できる瞬間があり、
想像すらしてなかった空間が立ち現れるチャンスでもあります。

体験から生まれるアイディアや気づき。
時には失敗した後悔。
それをまず仲間と共有できる喜び。

さらには、それをお施主さんと共有できる感動。

バラバラだったはずの感情や情報が、ある時脳みその中で繋がり始める瞬間があります。


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そしてたった1日でも、現場で立場を超えて作業して、
一緒にご飯を食べる事。


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「工事は終わりそうだけど、
 もしかしたら、、、、ここからが建築の始まりなのかも?」

僕はいつもそういう風に思わせて頂きます。

鉛筆も、パソコンも持たずに
夢中で現実の空間を作る作業をしていると、
その瞬間、いつも社会人一年目の気持ちに戻れるのです。


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、、、、とまぁ、固い話は抜きにしても、
やっぱり現場作業は、その人の今まで分からなかった性格とか気質も分かって
面白いもの。


「お、雑だと思ってたけど、案外職人気質だなー」

とか

「お、全体の進行を見ながら、欠けてる作業によく気がつくなー」

とか。


こういうのは、事務所でのデスクワーク中ではなかなか感じる事ができません。

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そういう意味で今回、若者たちの新しい素敵な面を見れて、
ますます信頼感が増してきて嬉しくなりました!


こういうの、
大企業の新人研修に絶対いいと思うなー。


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さてさて、そういう訳で
最後は、暑さのあまり深い海の中でのモダンダンスのようなカオスな状態になって終了(笑)。

小池さんの家は、8/7(土曜)にオープンハウス予定で進行中です。

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早く養生が全部取れて、完成した姿を僕もみたいなぁ、、、、。
お楽しみに。
posted by 西久保毅人 at 23:29| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月03日

一番上から考える、結果から考える、逆回しに考える

うーむ、さいきん、
自転車乗ってたりしてふと思いついちゃう様なコトを、
着いたらすぐ忘れちゃうような脳みそになっちゃっったので、
メモしておきます。


たとえば建築を作り始める時って、
「基礎」から始まります。

ようは下から作り始めてだんだん完成していく。
「基礎から学ぶ、始まる」って
建築にかぎらず何でもあたり前にそうなのですが。
学ぶ順番や理解する順番がそのほうがいいかというとそうでもないのかなーと。

たとえば建物の地盤や基礎が大事、大事っていっくら言われても、
それだけだと僕にはやはりピンときません。
でも逆に、屋根から考えてみます。

屋根の重さは、〇〇キロ。

次に3階の重さは、〇〇キロ。

次に2階の重さは、〇〇キロ。

次に1階の重さは、〇〇キロ。

っていう具合に考えてみると、

「なるほど、これだけの重さを支える訳だから、それに耐える基礎にしなきゃだし、
地盤も大丈夫か考えないとね!」

っていうのが、思考的にすーっと腑に落ちます。

これは、構造力学にも言えて、下になればばるほど、上の階の荷重を支える訳だから
がっちりしていないといけませんが、3階なんて屋根しかのっていないので

「平家とおんなじじゃーん」っていうのが分かります。


それで思い出すのは、最初の職場で象設計集団の関さんとのやりとり。
ついつい、仕事を初めてばかりだと、

「構造や骨組みや、作り方」から考え始めるのが、プロっぽい、仕事ができる人っぽいって
思いがちです。

でも関さんは、

「まず、このフローリング材、どう貼りたい?縦向き?横向き?」っていうところから
話が始まりました。そして

「ヨコに張りたいんだったら、その下にくる下地材は、タテになってないとね。」

なるほど!!!

この考え方なら、サルにでも腑に落ちます!
ほんの30分くらいのできごとなんですが、
なんか、ケンチクが僕に近づいてきてくれた瞬間のエピソードとしていまだに忘れられません。


ようするに、

「完成形をどうしたいか??」

っていうところから、逆算して考えるっていう事です。

人にもよるかも知れませんが、まったくの想像力を持ち合わせていなかった僕にとっては、
この考え方ならケンチクが好きになれそうでした。


建築にかぎらず、勉強でもスポーツでも、音楽でも、

「基礎が大事、基礎が大事、基礎が大事、基礎が大事」って言われます。
でも完成形の見えない基礎練習ってやっぱり「なんのため??」っていうのが
分かりにくいですし、やる気も湧きにくいですよね。

勉強に関しては、完成形って見せにくいけど、
スポーツや音楽なら、今オリンピックがやっているように「完成形」や「理想形」が
見えやすいですし、
何をかっこいいと思うかって人それぞれなので、
自分がかっこいい、こういうプレーをできるようになりたい、っていうのが
それぞれの完成形になればいいのだと思います。

そのかっこいいプレーを紐解きながら、そのプレーにつながっていく様な基礎訓練を
教えてあげた方が、やる気もだいぶ違いそうだなーと思いました。


僕は子供の頃、何でもかんでもとても理解の遅い子供でした。
いまだにそういうところがあります。

建築でも、料理でも、スポーツでも、勉強でも、音楽でも、話し方でも。

なんでも自分の「かっこいい」や「作りたい」から
逆算して学んだり、考えたりするほうが、特に僕にとってはとても理解しやすいなー、という
話でした。


そのほうがぜったいやる気出るしね!
イメージ湧くしね!

posted by 西久保毅人 at 10:54| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月04日

今週末は「小池さんの家」のオープンハウスです。

今週末は、文京区で工事を進めていました「小池さんの家」のオープンハウスです。


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敷地は72uほどのとても密集したエリアなのですが、
そこに詰め込むべき、
とても楽しい小池家のつぼノートをいただきました。

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はたしてこのシキチの大きさに詰め込むコトができるのかどうか、、、、?
でも、妄想はただですからね!



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こんなものや、


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イカ焼きもあるかと思えば、、、、

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イグアナから、、、

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なんと先生まで(笑)。


つぼノートのお手本とも呼ぶべき、
広げるだけ広げられたすばらしいのつぼノートです(笑)。


まぁ、ほとんど僕のつぼとも重なるところばかりで、
とても楽しく設計をさせていただきました!


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オープンハウスの時は、つぼノート片手に完成したおうちをチェックしたいと思います。

内覧をご希望の方は、ぜひご連絡くださいませ。
posted by 西久保毅人 at 22:53| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月17日

ウフフ


oeuf(ウフ)っていうのは、フランス語で卵という意味らしい。
その意味を知るのは後のこと。ある日飯島家からLineメッセージで写真が送られてきた。写っている立て看板には白いチョークで「oeuff白金台」。
そういえば家の軒先でマルシェを始めるっておっしゃってたなーと思い出し、

「ん? オウフ白金台って読むんですか?」

と質問してみた。するとしてやったりとばかりに、

「ウフフ白金台。 卵のウフなのです!うふふ」

とさっそくの返信。してやったりの時はかなり食い気味に返事がくるのが尚子さんだ。この時点ではまだ僕には「まだ卵のウフなのです!」のくだりの意味がぜんぜんピンとはきてなくて、何が卵のウフなのだろう?卵とウフはどういう関係?と思っていたのだけれど、そんな事より「ウフフ」っていう言葉がなんとチャーミング!と思った。
卵とウフの関係はともかくとして、家ではじめた軒先マルシェが「うふふ」だなんて素敵すぎないですか?。本当に尚子さんにはいつもいつもやられる。「やられたーっ、し、しかも絶妙だ、、、。」と思わされてしまうのだ。僕もこんな言葉をいつかさらりと出してみたい。


と、そんなLineのやりとりの日付を改めて確認してみたらちょうど1ヶ月前、2021年7月15日となっている。
その1ヶ月後。
尚子さんが亡くなってしまったという訃報が、ご主人の寛さんから届いた。

*  *  *

親愛なる皆様、
残念なお知らせです。
昨日の8月13日金曜日、私の最愛の妻でもあり、皆様にとっても恐らくとても愛されている素晴らしい女性である飯島尚子(旧姓 今村尚子)が亡くなりました。
まるで眠っているかのような顔で、あの世に旅立ちました。
手には彼女の昔からの愛読書である、恐らく彼女が亡くなった時に読書中であったと思われる、村上春樹氏の「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」が彼女の脇に落ちていました。
夫である私が言うのもなんですが、素晴らしい人だったと思います。
8月12日木曜日は、朝晩の犬の散歩もして、その晩には僕とFBメッセンジャーで馬鹿話してたんですけどね。
8月22日 日曜日に、彼女の告別式を行うこととしました。

尚子さん自身は生前に、「冠婚葬祭はシンプルでいいのだ!」と公言していた人なので、告別式はシンプルに行います。
・彼女の「シンプルで行くべし!」を尊重して、お葬式のお返し(例 タオルとかお茶とか)は準備してません。その代わり、香典をお持ちにならない方でもご自由に彼女にお別れを言ってあげてください。(※お気持ちで香典を出していただける方は、快く受け取ります。お葬式代もかかりますので)
・世界中がこのコロナ禍で大変な状態です。無理して参加しないでください。もしご参加される方は、マスクの着用、手のアルコール消毒などを徹底ください。(※会場にもアルコール消毒の準備はされるはずです)
私としては寂しい気持ちで一杯ですが、多分彼女はまた次の世界で、彼女の独特の文才でみんなを笑わせていることでしょう。
尚子さん、ありがとうございました。
あなたと暮らした21年間は、本当に幸せでした。
飯島寛


*  *  *

全部読んだがこれは何を伝えようとしている文面なのだろう。
尚子さんは、今は卵とウフフのはずだ。でも寛さんがこんな手のこんだ冗談を言う人ではないのも知っている。
だからすぐに事実だと分かった。でも事実ってなんだろう。どう受け止めたらいいのだろう。
心と脳みそと顔の筋肉がうまく同期せずに涙も出てこない。

ただ、尚子さんに「書きなさい」と言われている気だけはした。


*  *  *

ウフフ。
そういえば尚子さんはいつもウフフだ。出会った時から、設計の打ち合わせの時から、赤提灯で飲んでいる時から、そして事務所に肉まんをたくさん抱えてきた時も。どんな場面でも尚子さんのウフフがいつも場を和ませ、やる気にさせ、それでいいのよと言ってくれているようだった。

ウフフ。
私たちはこの場所に借り暮らしをしようと思っているんです。駅からの小道がアプローチでこの階段が玄関。この階段にたどり着いて屋根が見えたら街のみんなが「おうちに帰ってきた!」って思ってもらえるようなそんな家を作りたいんです。私たちの家でもあるし、みんなの家でもある様なそんな家。小さくても森の中に住んでるようなそんな家。
ね、素敵でしょ?うふふ。

ウフフ。
最後の読書もなんと尚子さんらしいのだろう。そうまさにあなたのウフフはウイスキーの様だった。ほんの数滴であっという間に人を酔わせてしまうような。シンプルなのに複雑で海の余韻が染み付いてしまうような。でも複雑さは決してあなたの本意ではなく「ほらさぁ、難しい事はさておき、飲んじゃおうよ!うふふ。」と言っているような。


*  *  *

もし僕らのことばがウィスキーであったなら、
もちろん、これほど苦労することもなかったはずだ。
僕は黙ってグラスを差し出し、
あなたはそれを受け取って静かに喉に送り込む。
それだけですんだはずだ。

「もし僕らのことばがウィスキーであったなら/村上春樹」より引用


*  *  *

尚子さん、
思えばあなたのウフフで、どれだけうふふな気持ちになれたことかを知っていますか?
ウフフは最後に残してくれた魔法の言葉だったのですね。
でも僕のウフフは気持ち悪いだけなのです。
困りました。


そしてまた尚子さんのしてやったり顔が目に浮かびます。
うふふっ、とはにかみながら。
そしてドヤ顔のあなたが。


心よりご冥福を申し上げます。


西久保毅人

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posted by 西久保毅人 at 00:21| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月28日

建築を根付かせる

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先日、とある審査をしていただける事になり、
完成して4年目になる「廣石さんの家」に久しぶりに伺ってきました!

審査、ってなるといつも学生に戻ったような気分になります。
いつもは自分が学生をAとかBとかSとか、、、悩みながら採点する側なんですが、
される側になると、どんな時でも超〜緊張(汗)。


そう思うと、堂々とプレゼンしてる学生、つくづくエラいなと思います。。。。

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そうそう実は「廣石さんの家」の廣石さんは、実は同業で
建築の構造設計を大学で研究されている研究者さんなのです。
なので、このおうちの構造設計は、もちろん廣石さんが自ら手がけられました。

不思議と僕は同業の方からの設計のご依頼も案外多く、光栄ではあるのですがそのたんびにやはり緊張します。
しかも構造設計者ってなると、もう文字を読んだだけで厳しそう(汗)だし怒られそう、、、。
お知り合いの建築家も多いでしょうしね。

そんな訳で、最初に「なんで僕に頼んでくれようと思ったんですか??」

って質問してみたら、

「うーん、、、まぁいろいろありますけど、、、、、、ビシッとかっこいい系のデザインの建築家の人と比べるとちょっとダサいからですかね?」

とのコト(笑)。


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そんなお答えをある時いただきました。

廣石さんは、「あっ、、、失言!(正直に言いすぎちゃった、、、、)、そ、そのーー、つまり、、、。」

とそのあと気にされていたのが、とても印象的だったんですが、
実はそういうの、とても嬉しかったのを思い出します。

むしろ「かっこいいからです!」なんて言われると逆にあんまり嬉しくないというか、
どうせそれは、お世辞でしょ、、、って思いますし、なんか変なコトできなくなっちゃうじゃないですか??実際。
カッコつけなきゃいけないのは疲れます。

それよりも、面白いとか、ダサいとか、ぶさかわいい、とか、、、そういう、うふふっていうのを共有できた方が絶対にいい。
ぎりぎりマイナスにならない、マイナス寸前のセーフな感じ。

だからむしろ嬉しいなと思う、、、、。そう僕は変態です(笑)。

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そんな施主であり、構造設計者の廣石さんのおかげで、
構造的にもたくさんのチャレンジをさせていただく事ができましたし、
モノづくりの楽しさを一緒に味わえたプロジェクトだったなーと思います。


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さて、そんな廣石さんとの共同設計が、書類審査を通って、現地審査をしていただく事になりました。
審査員の方々もお忙しいから、10分くらいかな、20分くらいかな、、、、と予想していたので
短い時間できちんと伝えるための準備をして臨んだんです。

が、なんと終わってみると90分以上も現地に滞在していただき、
たくさんの、ほんとにたくさんの質問や気づき、感想をいただくという、とても有意義な時間を
いただく事ができました。もちろん疲れましたがそれよりも嬉しかったなー、初めての体験でした。

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嬉しい感想をたくさんいただく中で、
審査員の方々の質問も、どんどん核心を掘り下げようと近づいてくれているのを感じました。
とても光栄な事だったのですが、
いつも表面的な事しか喋っていないし、いろいろごまかしごまかしやり過ごしている僕の悪癖のため、
なかなか相手の望む言葉がでてきません。


それにもどかしくされている審査員の方の気持ちも感じましたし、
何より自分も情けないなーと思いました。

いつもは学生に、

「もっとコンセプトを明確にしないとね! やりたい事がわかりにくくて伝わらないのが残念だね。」

ってエラそうに言ってるくせにねぇ、、、、。




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とそんな訳で、
とても学びの多い時間をいただいた反面、反省すべきことも多かった1日。

その中で、ぽろっといい言葉ですね、って言っていただいたのが、
「建築を根付かせる」
という言葉。

いつも無意識に考えている事ではあったのですが、この機会に改めて、
じゃあ、なぜ僕は建築を根付かせたいって思ってるんだろう??というのを
まとめておこうと思って文章化してみました。


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<建築を根付かせる>

どんなに小さな建築でも人間の大きさよりはるかに大きい。でもそんな巨大な物体である建築を生き物と同等に扱い環境に根付かせたい。それが設計活動を通して常に目指しているテーマである。

建築は計画地が小さかろうと大きかろうと具体的な地面と接続している。だからこの場合にまず定義する「環境」は、抽象的で広義での環境ではない。現実にその地面の周囲に存在している一つ一つの「既存在環境」とでも呼ぶべきものである。例えば隣接状況、敷地形状、そして地域の歴史、街のなりたち。近隣住民や通り過ぎる子供達の目線。周囲に生息する猫や鳥や植物といった様々な小さな生物たち。訪れるかもしれない大きな自然災害。そんなできるだけ大小多くの「既存在環境」に接する部分で起こるであろう物語を丁寧に想像し、ボリュームや部位を小刻みに変形していく。ある部分は土木的な背景に対応するように。ある部分は植物や小動物のスケールに対応するようにとスケールをかまわず並列に扱っていく事が大切だ。
そしてあくまでそれぞれの決断の動機は、この建築の「内包環境」、例えば住まい手の具体的な生活や趣味やパーソナリティーに根を張るものであるべきである。なぜなら「内包環境」は建築に命を宿す唯一のものだから。

動物や植物はまずは特定の環境で生息するために、自身のすがたかたちをいびつに変形させてきた。それはまさに生命体としての「内包環境」と「既存在環境」のすり合わせにほかならない。特に巨大生物や巨木が自身の外皮を他の小さな生物の住処としている有り様は、小さくても人間よりは圧倒的に巨大な建築が目指すべき共生のすがたを示している。そんな存在として建築が根付いた時、初めて建築の外皮は、物理的な強度を超えた強さを持ち、内包する人間を守ることができる。そして同時に根づいた場所は違えども、はじめて広義の環境と接続しているという感覚をそれぞれが享受できる。まるで地球そのものと人間の営みが接続され、戯れている様な風景を、建築も作り出せるのではないだろうかと考えている。

西久保毅人


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これはすべての設計について、いつもぼんやり心にある事。
答えがあるのかどうかは分かりませんが、時々指先が触れるカンカクは確実にあります。
ぜひ、ご一緒に!
posted by 西久保毅人 at 15:13| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月11日

オープンハウスのお知らせ

告知だけですが、来週末の9/18(土曜日)に、
東京都世田谷区でオープンハウスをさせていただきます!


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「池谷さんの家」


東京都世田谷区の静かな住宅街に、木造3階建ての「池谷さんの家」が完成しました。

それにしても、どんな経緯があるとこんなカタチの敷地ができるのでしょう?

と思わず分筆されていった歴史を知りたくなるようなユーニークな形状です。
でもよくカンサツすると 密集しつつもちょっとした家々の隙間に敷地が染み込んでいくような気もしてきました。

くねっとして長い敷地である事を楽しめるように半階ごとにシーンの変化するスキップフロアの
構成としていろんな諸室を作りました。最終的には3階のサンルーム、ルーフテラスまで連続していく空間には、
まるで街を探検していくように池谷さんの好きなシーンがたくさん詰め込まれています。

いや、、、、詰め込み過ぎたかも知れません(笑)。

しかしおかげで予測不可能な未来の暮らしを柔軟に飲み込んでくれるような、
家の中にまた街があるような 空間となったように思います。

     


内覧をご希望の方は、ホームページの方からお問い合わせくださいませ。


posted by 西久保毅人 at 22:52| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月01日

ちいさなおうちと「いくつか性」



早稲田大学の中谷礼仁さんが、2005年に出された
「セヴェラルネス」
という本を読んでいたら、この絵本が紹介されていました。


セヴェラルネスっていうのは、セヴェラル=いくつか
という単語から生まれた造語なのですが、それは日本語だと「いくつか性」とでも訳すみたいです。

ひとつだけでもなく、でも多数でもなく、その間にあるいくつか。

なんでもそうですが、
ひとつだけだと「特殊解だよね、それは。一つだけだし、、。」と切り捨てられがち。
逆に多数だと一般解として認知される、つまりデータとして認められる。
そんな世の中に僕たちは住んでいます。

だから多数意見や、多数が同じになるような成果を求めてしまうのですが、
ここで中谷さんが焦点をあてているのは、その間にある「いくつかしか存在しない事象」。
ひとつだけではなく、でも多数でもないために切り捨てられてしまうような事象の中に、
実は見過ごしていた大切なモノゴトの真理が埋もれてるんじゃないだろうか?

たぶんそんな想いで綴られた本です。


そんな中で、意外にもひとつの絵本が紹介されていました。

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「ちいさなおうち」

という1970年代に描かれた本です。
絵本は結構読んでるつもりだったんですが、これは読んでなかったなー、、、、と
さっそく読んでみてびっくり。

ここから先は、中谷さんの本の内容とはまったく関係ないんですが、
建築にもうかれこれ30年近く関わってきただけに、「うーむ、、」と唸るような
内容でした。

大雑把に言うと、草原にぽつんと建てられた小さなおうちがあったのですが、
時代が進むにつれてどんどん周りが都市化されていき、最終的には周りは大都市になってしまいます。
でもこのちいさなおうちだけは、周りがどんなに変わろうとそこにちょこんと立ち続けています。

でもさすがにその場所に居たくなくなったちいさなおうち。
最終的にはちいさなおうちは、車で引っ張られて、また元のようなのんびりした自然の中に
移動させてもらうのです。


もう50年以上前に描かれた未来の風景なんですが、
住宅の設計の仕事をしていると、案外似たような出来事が現実におこります。
設計した時はのんびりした風景だった周辺に、マンションが建ったり、お屋敷が切り売りされて
建売住宅が密集したり。
止まっていたはずの道路の拡張計画によって、立退を余儀なくされたり。
数年でみるみるうちにまわりの風景がガラッと変わっちゃう事も実際にあるのです。

そのほとんどが、この絵本に描かれているようにガッカリする事が多いのですが、
かといって、それを止める手立てはありません。

最近ちょうど、以前設計させていただいた「ちいさなおうち」が、
実は計画道路の拡幅事業で、もしかしたら取り壊しになっちゃうかも知れないという
連絡がありました。どうやら土地を購入するときから、そういう可能性はあったようです。
だから、どうしてもの場合は、壊さざる得ないかも知れない、
でも土地を国に買い取ってもらう訳だから、別の土地にまた家を建てる資金は手に入るらしい、
そんな話です。

でも、僕たちもそうですが、そのお施主さんも思い出多きその家が大好きなのです。
ひとつだけ都合がいいのは、そのおうちが、とてもちいさなコト。


「、、、もしそうなったら、家をどこか別の場所に移築しませんか??」


ちょうどそんな事を、現実として考えていたのです。
本当にどこまで可能かは分かりません。

でも、このおうちの唯一の特徴、「とってもちいさいこと」を考えると、
案外、どこの敷地にだって、どこの街にだって持って行けそうに思っています。
そんな訳で、「未来の移築プロジェクト」を結構真面目にお施主さんと考えています。

ちょーどそんな事を話しているタイミングで出会ったこの「ちいさなおうち」という絵本。
話してみたら有名な絵本なので結構、周りの人たちはよく知ってて(笑)、
誰かに話すたびに知らなかった事を恥ずかしく思うんですが、
僕にとっては、まさにこのタイミングで出会えた事を、とても運命的に感じています。


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これまでいろんな建築をとりまく現実に悔しい思いや、「なんでなんで??」っていう想いも
仕事を通して経験してきたからでしょうね。この絵本が、まったくファンタジーには僕には思えなかったんです。

そんな訳で、今年出会えて良かったなー、とつくづく思います。
そしてこの絵本にも導かれるような、移築プロジェクトを、
何年先かは分かりませんが実現させたいなーと真剣に考えています。

たいていのことは、思えば叶いますからね!


そしてもし実現したら、これもきっとたったひとつではなく「いくつか」の仲間入りができるのでは?
と思っているのです!
posted by 西久保毅人 at 23:02| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月04日

諦めないって素晴らしい

いろいろ設計をさせていただく時にいつも考えているのは、
どんなにシキチが小さかろうと、木を植えて地面をたくさん残したい、
というコトです。

これはほとんど僕の個人的な欲求でもあり、
都会で建築ができるたんびに、コンクリートでべたーーーっと
覆われてしまう住宅街の風景を見る度に感じる不快感によるものです。
だからあんまりもっともらしい理由はないんですが、、、。

そういう意味では、地面をどれだけ残せたか?っていうのが、
いいケンチクが作れたかどうかの、僕の自己評価の最大のものなんですが、
ご要望や、条件によってはなかなかうまくいかない場合もあります。


さて、これは自転車でたまに通る住宅街のおうちなんですが、
見る度にこれは素晴らしいな!って思います。


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「家もできるだけ広く作りたいし、
テラスも欲しい。

でも、木だけは絶対に切りたくない!」

そんな声が聞こえてきそうな佇まいです。


家が先か、木が先か、、、、?
気になるところですが、よくみてみると丁寧にテラスの壁が切り欠いて作ってありますね。


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これは、絶対最初に木が生えていて、
それを切らずに建てたんだと僕は思います。
もしかしたら、2階のテラス部分は後から作ったのかも知れませんが。

それでも、こういう選択の時、
じゃあ、木の枝に合わせて壁を穴開けたりすればいいじゃん!!!

っていうアイディアっていうか、気合いっていうか、、軽やかに常識を超えていく強い愛情が
見事に形になっていて通るたびに「ふふふっ」って思うのです。


諦めないって素晴らしい!!!
posted by 西久保毅人 at 20:40| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月09日

伝える工夫

ずっとリモート授業でやってきた工学院大学の授業が、
ようやく今日から対面授業解禁となりました!

僕は通年2年生の設計課題を担当しているんですが、実はいまの2年生って
入学の時点からコロナ禍で、最初の一年間は一切大学にいけなかった子達です。

今年も前期はギリギリ対面授業だったんですが、夏以降またリモート。
そんな学年です。


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設計の実習授業をリモートでやるって、なかなか難しい事。
しかも学生と一切会えない。

そんな中でもできるだけ考えることの楽しさや作ることの楽しさを一緒に考えたいなーと思ったので
ここ1、2年、自分なりにいろいろ工夫しました。
もう、超ーアナログ人間を売りにしていた僕ですが、伝えるために使えるものは全部使おう、っていう風に
考えられたのは、このコロナ禍の財産といえば財産です。

だから、インスタから、iPadから、ZOOM、動画撮影、タイムプラス撮影、、、、
今まで手を出さないようにしてたものまで、なんでも「使ってみよう!」っていう思考に
僕の脳みそもずいぶん切り替わったのです。



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これまでの大学での授業は、

「まぁ、授業のその場に行って、その場でいろいろ描いてあげればなんとかなる!」

っていうスタイルでやってました。
でも、コロナ禍で会えない訳だし、画面越しにしゃべるだけじゃあ、どうも伝えきれないよなぁ、、、
っていうのをあれこれ試行錯誤。

どうやったら、目の前で一緒に考えるようような授業ができるかなぁ、、とあれこれ考えたり、
対面になっても、大声でしゃべれないし、、、、ていうような事も考えた結果、
こういう、手書き(といってもiPadで描いてるんですが。)のメッセージを毎週準備する事にしました。


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それをみんなで画面共有しつつ、
またさらにその上にグリグリと描いていく、、、。

そして学生たちが提出してくる図面や資料も、画面共有しつつ、その上からグリグリグリグリ。

1年半経って最終的には、ノートパソコンとiPadを両方使って
ノートパソコンでは顔を見つつ、iPadで書き込んでいく、っていうずいぶんハイブリッドな
事までできるようになりましたよ(笑)。


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2年前の自分からすると、信じられないくらいにいろいろアプリやテクノロジーを使いこなせるようになったところで、
今日からまた対面授業。

嬉しいようで、残念なようで、、、両方の想いがあるんですが、
やっぱりお互いを近くに感じて、顔を見れるのはいいもんだなーとあらてめて思いました。

ただ、せっかくやり始めた授業前の「このお手紙メモ」は、
対面授業でも続けていこうかな、と思っています。


オチとしては、リモートだとメモを作成してもプリントアウトしなくて良かったんですが、
昨晩、「あ、プリントして配らなくては、、、(汗)」と思い出し。

今日は、プリントしてホチキスドメしたメモをみんなに渡しました。


対面で、ふた手間くらい増えちゃいました、、、、。
posted by 西久保毅人 at 23:28| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月01日

思い通り

今日から12月。

2021年もまもなく終わりです。
まだ1ヶ月あるけど、なんだか今年の12月はあっという間に終わりそうです。

ちょうど2019年の4月からはじまった月のとびらの運営ですが、
当初の3年間、という予定通り来年2022年の3月までとなりました。

最初は3年も楽しめる、ってドキドキしつつ始まったんですが、
終わりを目の前にするとあっという間ですねー。

これからは、できるだけ素敵に育った月とびを、オーナーの小田原さんにお返しすることをイメージしながら
進める時間です。

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3年前、急に小田原さんご家族が転勤になり、家が三年間空くことになりました。

「ど、どうする〜??」

っていうコトを、民泊運営の先輩である飯島夫妻に相談をもちかけ、
小田原さんの家を、Airbnbで民泊運営しつつ、ギャラリーを街に貢献できるスペースにしよう、
っていう2本立ての企画を小田原さんに了解いただき、スタートした月のとびら。

っていっても、貸しスペースの運営なんてやったことのない素人の集まりが、飯島さん夫妻にサポートして
もらいながら舵をきったのを思い出します。

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ちょうど世の中、インバウンドの外国人さんであふれていた2019年。
オリンピックに向けてますます外国人の旅行者が増える一方だと、民泊用のホテルまでできようとしていました。

最初のゲストが決まった時は嬉しかったですし、三年間の運営は順風満帆に思っていました。

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でも1年が過ぎ、コロナ禍になり今に至ります。
2年目からは、すべての宿泊予定がキャンセルになり。

そんな中、もう何でもやるしかないと始めたのが、いまの月とびリモートです。
いろんな目的は掲げましたが、このプロジェクトの一番の目的は、

「3年後、小田原さんご家族に前よりも素敵になったご自宅を、自信をもってお返しすること」

でした。

「ようやく自分ちに帰ってきたな〜。やっぱ自分ちが最高だな!!!」

と思っていただきたいですし、

「お、なんか3年前よりもいい感じになってるぞ、俺んち」

って思ってもらいたい。

それが全ての根っこでした。


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結局、運営に関しては、見事に
まったく思い通りにはいかなかった、というのが正直なところ。


でもそのおかげで、想像以上の素敵な出会いや出来事が次々に起き、みんなに

「えー、来年の3月でで終わっちゃうのー、これ。
 じゃあ、私たちはどこに行けば、、、??」と

と口々に言っていただくくらいに、みんなに愛される場所に育ったなーと最近思います。

もし、当初の思い通りにうまく行っていたら、
こんな場所にはなっていないだろうな、と思うのです。

僕自身も、こんなにも「月のとびら」にいるようになるなんて思ってもいませんでしたし、
おかげでこの街にとても愛着が湧き、商店街の方々とも親しくさせていただくことになりました。


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思い通りにいかなかったおかげで、月のとびらは想像以上のみんなの宝物になりました。
小田原さんと、設計のお打ち合わせの際に話していた未来の妄想が、
少しは実現できたなーと思いますし、
この建築で考え、思い描いたコトはとても正しく、強かったなーと実感することができました。


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今は、はやく小田原さんにこの月のとびらを見せたいなー、って最近思います。
月のとびらでであった仲間もはやく小田原さんに紹介したい!


「お、なんか3年前よりもいい感じになってるぞ、俺んち!!!」


って言われるのが目に浮かびます。

そんな訳で、ガヤガヤしてる時にこそっと抜き打ちで帰ってきてもらいたい今日この頃(笑)。


そしたらたくさん呑みましょうね!

思い通りにいかなかった日々を肴に。


posted by 西久保毅人 at 23:41| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月17日

餅投げ、そして博多出張所計画?

ちょっと前ですが、九州の福岡で設計をさせていただいている道山さんの家が
無事上棟になり、餅投げ式に参加してきました。

ニコで餅投げといえば、
埼玉の小熊さんの家、佐賀の江頭さんの家に続いて3軒目です。
100件以上の設計をさせていただいて3件なので、やはりなかなか実現は難しいのだなーと思います。


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僕が子供の頃、

「〇〇さんちで、餅投げのあるばい」

ってなるとワクワクしながら行ったものです。
とはいえ、別に建築現場に興味があるわけではありません。
屋根から降ってくるお菓子や、お餅の中に入っている小銭が目的(笑)

そんな訳で、僕にとっての餅投げは、
あわよくば、餅の中にお金が入っているかも?、っていう 姑息な、臨時収入があるかも??
っていう日でした。

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また、昔の家は敷地が広いから、
自分の敷地の中に、餅が投げられる、っていうのも、餅投げが行いやすかった理由でしょう。
だから、なんだかんだと、小熊さんの家にしろ、江頭さんの家にしろ、
自分の敷地内に子供達に集まってもらい、餅投げを行いました。

だから、この道山さんちの餅投げのすごいところは、
餅投げを、道路に向かって投げた事!

これって、案外できそうでできない事です。
なぜなら最近は、自分の敷地やら、人の敷地やら、、、っていう境界意識がみなさん強いのと、
公道の利用についても、なんやかやとクレームになりやすいからです。
そんな中、道山さんの家の上棟式。

時間が近づくと、道路にたくさんの親子連れが集まってきてくれました。
だんだん増えて、始まる頃には想像以上の大人数!!!!


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福岡では、餅を投げる建主と大工さんが、首に赤い手ぬぐいをまく習慣だそうで、
なんだか、華やかで素敵な姿でした!

そして途中車が通るものの、和やかな晴天の中、餅投げを行う事ができました。

工事をしてくれている久木原工務店さんは、

「いやー、実は今日、午後からもう一件、餅投げがあるとですよっ!!」

との事。
素晴らしいですねー。

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上棟式では、博多の祝いの歌も監督さんたちが披露してくれました。

こういう古い慣習は、都会ではどんどんなくなっていますが、
一日に2軒も餅投げがあるなんて、
きっとお客さんや地域の方へのケアも丁寧で、地域に愛されている工務店さんなのだろうなーと思いました。


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そしてまた、道山さんご家族も地域に愛されていらっしゃるのだな〜、とつくづく感じました。
敷地内の空いたスペースの駐車場は、お隣の保育園の送り迎えに貸してあげるそうです。
こういう事まで考えられるってすごいですね!

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さて道山さんち。

大通りにも面しているので、一部、貸し店舗(事務所?)になる予定です。

うーむ。
ニコ設計室の博多出張所でもいいなぁ、、、、、。
posted by 西久保毅人 at 22:02| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月24日

お店付き住宅

先日、世田谷区ののんびりした、でも活気のある商店街沿いで、
各務さんの家の地鎮祭でした!

各務さんの家は、

「将来、ワインバーとか、カフェとか、、、なんでもいいけど街と繋がったお店がしたい!!」

というご要望で敷地選びをされた木造3階建の住宅です。
正式オープンは未定ですが、完成したらまずは時々の週末から、
そのうち本業として、などというたくさんの妄想のふくらむ計画。

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いいなぁ、、、。

そういえば、僕は子供の頃から、「お店の子」っていうのにすごく憧れていました。
とにかくお店や、自営業の家、っていうが羨ましくてしょうがない。
ウチは、正反対の銀行員のサラリーマンだったのですが(笑)。

将来独立するような野望はぜんぜんなかったんですが、
今思うと、子供の頃の憧れの気持ちで独立しちゃったと言っても過言ではないのかも?
って思います。それでも設計事務所はしょせん、設計事務所。

こどもの時に思い描いた「お店の子」とはちょっと違います。
だから、今もなお、お店とか、商店街とかに無性に憧れがあるのです。

いいなぁ、、、。


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さて、この各務さんちの近くに、
数年前に完成した「くすかめくのくの邸」があります。
くすかめくのくの邸は、3世帯住宅+地下は貸しオフィスとして設計しました。

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完成時からすぐに入居が決まったのは、なんと写真スタジオさん。
今もなお変わらずに営業されていて、この3家族のいろんな節目の写真は、
地下のスタジオさんで撮影されるそうです。


なんとまぁ、大家族にぴったりの業種でしょうね(笑)

このくすかめくのくの邸、完成後もお子さんが増えて、30坪しかない敷地に
今や10人以上、うち子供5人が住んでいてとても賑やか。


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立体的な街の路地のような3世帯住宅なので、
共有の半外部空間に、大きなクリスマスツリーが!!

こういうのもいいですよねー。

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そうそうちょうど各務さんの地鎮祭のあと、
久しぶりにちょこっと寄らせていただいたのです。

相変わらず素敵に生活されていて、とても嬉しかったですし、
なんと、ちょうどその日は社内の広報の方々が、くすかめ家を取材する、
っていうインタビューの日だったそうで、
そういう偶然にも立ち合わせていただだきました。



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「どうとでも使える」

っていう売り文句は、僕は実はあんまり好きではありません。


「どうとでも使える」ように無難に。

「どうとでも使える」ように普通に。

「どうとでも使える」ように真っ白で。


「どうとでも使える」って言葉は、こんな感じであんまり積極的な選択肢として使われない場面が
とても多いです。


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そういう言葉が嫌いな僕は、
1家族にしろ、多世帯にしろ、

「そのご家族らしい、そのご家族と出会ったからこそできる家」

をいつも夢見て設計をしていますし、このくすかめくのくの邸もまさにそんな家です。


、、、、だから3世帯分、打ち合わせ、超ーーーーー大変でしたが(笑)。



そして
これから10年、20年、50年、と多世帯住宅だからこそ、
家族の変化もたくさんあるでしょう。


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でも、この大家族の家は、どんな状況になろうと、きっと

「どうとでも使える」んだろうなぁ、って思うのです。


設計する時は、「どうとでも使える」なんて思いたくありません。

でも、完成した時には、

あぁこの家はどんな時代が来ようとも「どうとでも使える」長く愛される家だなぁ、、。

って思えると本当に嬉しいでものす。


あぁ、、、、、、自己矛盾(笑)


おしまい。
posted by 西久保毅人 at 00:04| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月28日

もっともっと!!!

先週末で、今年の月とびリモートは終了しました。

9月から4ヶ月間、毎週毎週リース屋さんを開いてくれていたgtoyさん
今年は一旦終了です!
お疲れさまー。


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先週は僕はちょっと遅れて月のとびらに到着したのですが、
もう今では、gtoyさんも慣れたもの。
勝手に開けてくれて、
看板まで書いて出してくれているので何の心配もありません。


こういうのを遠くから眺めるのは一番嬉しいなー、って思う瞬間なのです。
だからわざと遅れてたりして、、、、(笑)。

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僕がいなくても、月のとびらが街を元気にしてくれている。

約3年かかりましたが、最後にして僕が夢見た事を実現してくれる方と出会えたのは、
ほーんと感無量でした。

たとえばある時は、植物や蔦が育ちすぎたので弱気な僕が


「、、、うーん。僕はこの状態好きだけど、少しは植物の剪定をしてから小田原さんに返した方がいいですよねぇ??」


って言うと、gtoyの厳太郎さん

「でもさぁ、ニシクボさん。このもじゃもじゃの姿を、家主さんにそのまま見せたくない??絶対見せたいよねぇ??ねっ??ねっ??」

なんて言ってくれたりもします。

見せたいに決まってますよーーー!もちろん!!!

まぁ、小田原さんも

「オレのコトはいいからさー、好きに使ってよ!」

って言ってたしなぁ、、、。

と、自分に都合のいい部分だけ言われたことを覚えているので、
このまま返しちゃう事にしますね(笑)!  オダワラさん!

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こういう風に「自分ごと」として意見をいただけるのがなんとも嬉しい。


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まぁ、これは一つの例ですが、
この月とびの運営に限らずこの1年。
なんだか長かったですよね〜。

やるべきか、やらざるべきか、行くべきか、行かざるべきか、、、、など、
みんながたくさんの選択を迫られた1年だった気がします。

そんな折々、
精神的にも落ちてしまうようなタイミングが、誰しもあったのではと思いますし、
僕もいつもに増して、気持ちに浮き沈みがあった1年でした。


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そんな時、
こんな風に不思議と前に進めそうな言葉をいただいたり、出会いがあったり、、、、と
たくさんの人たちに救われもした1年だったなーというのが、僕の今年の感想です。

それは、
月とびに訪ねてきてくれたたくさんの人もですが、

大学で教えてる学生達から、
アルバイトやインターンにきてくれた子達から、
今年入った新人のスタッフから、
長年一緒にいてくれるベテランのスタッフから、
設計中のご家族から、
もうニコの家に住んでいただいているご家族から、
突然のお問い合わせ中のメールの文面から、
現場の職人さん監督から、、、
そして偶然手にした一冊の本から、


と思い出せばキリがないほどたくさんの人からエネルギーをもらったなぁ、、、
そのおかげでこの1年乗り切れたなぁ。

とつくづく思う今日この頃。


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あの出会いが、あの言葉がなかったら?
あの瞬間がなかったら??

って思うくらいに、一つ一つの言葉や出会いや再会が、
背中をちょん、って押してくれた瞬間がたくさんありました。


ほーーーんと感謝しかありませんし、
本当に周りの人に恵まれているな〜、とつくづく思ったこの1年。

僕の最大の自慢は、世代を問わず素敵な人に出会える能力だと思います!(笑)。


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だからでしょうか?今年、実は僕にしてはめずらしく
10年後、20年後のニコ設計室、そして一緒に働いてくれるみんなのために、
今、何をすべきか?

っていうのを結構真面目に考えた1年でもありました。

特になんと今年は、自分の子供世代の学生達がニコ設計室で働くことが現実となった年でもありましたしね。

ついこないだまで、よちよち歩きで、おしっこもらしてて、僕の腰から下をうろちょろしていたような
子達とまさか一緒に仕事をする日が来るとは、、、。

時間が経つのははやいものです。


そういう世代の子達が、世代を超えて建築について真剣に向き合い、同じものを好きだと思ってくれていること。
そしてニコで働きたい、という希望を持ってくれている若者が、
意外にもけっこういてくれるの肌で感じたからでもありました。

正直嬉しいし、背筋が伸びる想いです。

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ニコ設計室が20年かけてやってきた事に、もし次の世代が興味を持ってくれているのなら?

僕が伝えられる事は、なんだってやりたい。
そして結果的にニコで働くかはともかくとしても(事務所狭いし、そんなに仕事ないし(涙))、
そういう熱く芽吹いている若い想いを、途切れさせずに未来に続かせてやりたい。

そんなことも思うようになりました。


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世界中がコロナ禍に振り回されたこの2年間。
この混乱がこのまま終焉を迎えるのか、また来年新たな脅威が現れて世界を脅かすのかは分かりません。

でもその瞬間にも同時進行で素敵な出会いがあり、言葉があり、子供が産まれ、子供達は成長しているのだという事。
あいかわらず1日は24時間で、四季があって、音楽が流れ、毎日お腹がすくのは変わらないという事。

僕たちにとっても、子供達にとっても、不幸な時代なんていうのはきっとなくて、
今そのもののが、その子達のすべてである事。

別々の時代に産まれ、別々の場所で育とうとも、同じものを好きだと言い合える仲間とは
必ず出会えるという事。

そして大事な人とのお別れの悲しさは、どんな状況であろうときっとおんなじだろうなぁ、という事。


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だから


もっともっと、ぱっと誰かの役に立てる人になりたいな。


もっともっと、伝えられる人になりたいな。


もっともっと、繋げられる人になりたいな。


もっともっと、与えられる人になりたいな。



もっともっと!

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もっともっと!!!



来年もよろしくお願いします。



写真はgtoyさんの最終日と、その後の打ち上げたこ焼きパーティーの様子でした(笑)。
posted by 西久保毅人 at 16:12| 2021年の気づきとカンサツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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