2020年07月08日

ひさびさに、「工事中から家は食堂!」

先週、梅雨の合間を縫うように天気に恵まれ、
杉並区で設計を進めているグリーンハウスの上棟式をしていただきました!

グリーンハウスは、6世帯からなる木造の共同住宅です。

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実際は、ずーっと雨続きの予報だったんですが、
ミラクルなお天気に恵まれて、
いい風の吹く、とても過ごしやすい日になりました。

コロナウイルス、ステイホーム、ソーシャルディスタンス、と
3月から自粛自粛が続いていたのですが、
ようやく外でこういうお祝いもしていいような街の雰囲気になってきましたしね。

そういう意味では、非常に天気や、タイミングに恵まれた現場だなーとつくづく思います。
やっぱり家づくりは職人さんたちに手で作ってもらう訳ですので、
ほんの1日でもこういう風に建築家、建主さんご家族、職人チームが
立場を気にせず集まることがとても大切だなーと思います。

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グリーンハウスは、もともと建っていた古いアパートの建て替えなのですが、
オーナーの石原さんご家族は代々この地域の方なので、
ふらっと近所のご親族のおじさま達も参加しに来てくれました。

これぞ、「工事中から家は食堂!」なのです。

そうそう
いろんな状況の設計をさせて頂くのですが、
こういう「ザ 東京ローカル」のつながりのあるご家族が多いのも、
案外ニコ設計室の特徴かも知れません。

そして、どこかから移り住んだとしても、
そんなご近所との関係がこれから産まれていくような家づくりが
僕たちの目指す家づくりでもあります。



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そんな時、
実は建築のデザインがどうこう、、、っていうコトよりも
どれだけ地面を残すか、とかどれだけ草木が生えるか、っていうような
建築の周りのデザインを大切にすることがとても大事だなーって改めて思います。

実は、このアパートのグリーンハウス、っていう名前、
植物が好きだった亡くなったお父様がつけた名前だそうです。

もちろんアパートなので収益計算が一番大切なので、
そういう事ももちろんクリアーしながらも、
緑あふれる共同住宅、
街と人、人と人のたくさんのつながりの生まれる共同住宅になるように考えています。



まぁ、そういう意味では、
日本中、どこで作ろうとも、ニコ設計室は地面に根付いた「ザ ローカル」な設計しかできないのだなぁ、、、、。

それが長所でもあり、欠点でもあり(笑)。


完成が楽しみです!




posted by 西久保毅人 at 22:06| 2020.7月の気づき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月15日

心ざわりな距離感

実は、先日、
ドイツのデュッセルドルフ在住の、シュタイナー教育家、稲垣真理子さんと
日独ZOOM対談をさせていただきました。

その様子が、YouTubeにアップされましたのでお知らせします。


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長くしゃべりすぎたので、、、、、前後編の大作です(笑)。

自分でみると、「話下手だなー、、。」とかなり恥ずかしくなってしまうんですが、
このコロナ禍の時期、なんでもチャレンジしよう、が最近の僕のキャッチフレーズ。
その第一弾でしょうか(笑)?


さて、
そもそもなんでこういう機会があったかというと、、、、。

実は、この2月に、真理子さんが来日の際、
僕たちが小田原さんよりお預かりして運営している「月のとびら」に偶然宿泊されたのがきっかけでした。
その際、真理子さんがドイツで幼児教育をされているという事でしたので、
「家づくりのつぼノート」を献本させていただいたのです。

「家づくりのつぼノート」は、もちろん家づくりのエピソードをまとめた本ではあるんですが、
僕のこの本の裏テーマは、「子供達の世界の素晴らしさを伝える」という事だったんです。
だから、もちろん家づくりに関心がある人にも読んでいただきたかったのですが、
幼稚園や保育園、子供の世界に関心がある人、「今の教育なんだかなー」と悶々としている
人たちに、ぜひ読んでいただきたいと思って書いた本でした。


さて、そんな訳で出会った時期は、まだコロナ前で海外旅行もできていたのですが、
それから世界中でこのコロナ禍が始まりました。
真理子さんの幼児教室も休園せざるをえなくなり、そんな状況でもなんとか伝える事ができないか、、、と
YouTubeで動画を発信する事を始められたそうです。



そんな先日、真理子さんから突然のメールがあり、「家づくりのつぼノート」を題材にした
対談をしたいとのオファーをいただいたのです。
こんな嬉しい事はありませんし、こういうつながりも、実はコロナ禍がなかったら、思いつかなかった
事かも知れません。
すぐに快諾して、このZOOM対談が実現したのです。


でも、面白いのは、
実は、僕と真理子さん、日本に滞在中も二言三言くらいしか、実は会話をした覚えがなかったのです。

、、、、、人見知りのため。

なので、対談、と言っても、ほとんど初対面に近い状態でもあり、
話しながら、「そんな事を考えてたんですね〜。」とお互いに初めて聞く事ばかり(笑)。

唯一の情報としては、「月のとびら」に滞在してもらった、という事と、
「家づくりのつぼノート」を読んでいただいている、という事くらいです。

よくそんな状態で、YouTubeで発信するような対談をしたものだ、と思いますが、
なんか、そういう「えいやっ」っていう性格が、僕と真理子さんは似ているんでしょうね(笑)。

おかげで、僕もなんだか変なスイッチが入ってしまいました。


このコロナの状況を憂いていても何も始まりません。
でも、こんなZOOM対談の機会のように、この時期だからできる事や、
この時期だからやっちゃえーっ、ていうような
事が、実はたくさんある気がします。

もし、平穏な状況だったら経験やプライドが邪魔して恥ずかしくてできなかったような事も、
「もう、えいやっ」っていう思いでトライできるんじゃないだろうか?
やりながら、トライアンドエラーをしながら、気がつける事があるんじゃないだろうか?

そんな前向きな勇気をこの対談を通して、真理子さんにいただいたような気がしているのです。


だから、とても堂々と「見て見て〜」と言えるようなトークではありませんが、
是非是非、見ていただけたら嬉しいです!


そして、「もうこの1回だけと言わず、せっかくだから10回プロジェクトにしましょうね!!!」

と提案していますので、そのうち話しぶりが上達するのを楽しみにしてくださいね(笑)。



ぜひぜひ、近い将来、ドイツで幼稚園、実現しましょう!

posted by 西久保毅人 at 23:30| 2020.7月の気づき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月17日

子供のための空間

そうそう、先日、ドイツの稲垣真理子先生と話している中で、
相手が、幼児教育の先生であることもあって、

「実は、20台の頃は建築を仕事にしようか、保育の現場で働こうか、結構真剣に迷っていたんです。」

という話となり、ずいぶん久しぶりに学生時代の話をしました。

この写真は、そんな僕の建築学科を卒業するに当たっての、修士論文に掲載した写真たちです。
懐かし!20数年前の写真たち!


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大学の後半、いまいち建築の面白さにピンときていなかった僕は、
建築を仕事にする事はないだろうなぁ、、、と思いながら、
救いを求めるように
いろんな人に面白い幼稚園や、保育園があると聞いては訪ね歩き、
その園に入りびたる、という事をしていました。
今思うと、学生の特権ですよねー。

今ならただのおじさんの不審者です(笑)。



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そんな事ばかりしていたので、いろんな園の園長先生と親しくなったりして、
いろいろお話を伺ったり、子供たちと遊んだりしていました。
面白い園と出会うたびに、大切なのは園舎ではなくて、素敵な園長先生だ、という
結論にいたり、ますます建築への興味が薄れていったのですが、
その甲斐もあり、
ある時、幼稚園に遊具を作らせていただくという幸運を得ました。
今思うと僕にとっては、初めての実物であり、ケンチク。



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でも、遊具ってなんだろう?

そんな事を悶々と考えた結果、
園庭に生えている大きな木に子供たちがだんだん近づいていけるような、
木に巻きついただんだんデッキ、というようなシンプルな木の床を提案しました。

だんだん上がっていくから、その下には潜れるような場所もあります。
木の柱は、そのうち壁でも作ってもいいかも?と思ってたくさん立てました。


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さて、完成してしばらく経った日、
久しぶりに幼稚園に行くと、もー、言葉で表現できないくらいの衝撃を受けました!

なんとそのだんだんデッキは、「子供たちの小さな家」になっていたのです!


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この幼稚園では、子供たちに簡単な木工をさせる園だったのですが、
その一環でこのだんだんデッキがその年の素材になったようでした。

柱や床を手がかりに、壁を作ったり、屋根をかけたり。
床下にはゴザが敷かれ、もう子供たちのたくさんの遊びの痕跡がありました。


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すべては子供たちの読み解きで、いかようにも空間化され、

「このアジト、何階だてだと思う??いち、に、さん、し、ご、、、8階だてだよ!」

とのコト。

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建築学科で学ぶ学生は、知らず知らずのうちに空間や部屋に名前をつけて、
常識に縛られていきます。体育館はこういうもの。美術館はこういうもの。学校はこういうもの、、、という具合に。

例えば住宅でも、リビングはこういうのが当たり前、お風呂はこういうのが普通、
子供部屋は6畳が常識、、、、などと、名前に染み付いたイメージから逃れるコトはできません。



それに対して、子供たちの自由な事、自由な事!


彼らには、常識や当たり前はありませんから、
すべては、純粋な体感と読み解きによる判断なのです。

なんと素晴らしい世界!

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そんな読み解く事の楽しさ、豊かさを子供たちを目の前に、
ますます薄れていく本物の建築への関心。



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まぁ、こんな風なので分かる通り、
建築学科での成績は、最悪だった訳ですが、
今思うと、これが僕のケンチクの原点だったなぁ、、、、と
20数年ぶりに思い出してみました。


こんな話を引き出していただき、ありがとうございます真理子さん。
ニコのおうちに段差が多いのは、実はこういう原体験も多からず少なからず影響しているのでは、、、、と
改めて思いました(笑)。



そうそう、今週は、日曜日に、月とびリモートです!
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posted by 西久保毅人 at 23:36| 2020.7月の気づき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月23日

住宅にある「そと」について

少し前になりますが、現在発売中の季刊誌「庭NIWA」さんからご依頼を受けて、
みどりのちから、というリレーコラムに執筆させていただきました。


とはいえ、僕はお庭の専門家ではありませんし、
恥ずかしながら作庭の歴史や作法もまったく分かりません。

ただ「そと」は大好きです。

本にも少し書きましたが、なぜなら僕は閉所恐怖症ぎみだから、、(笑)。
いつでも逃げ出せる空間にいたいのです。

しかし建築の設計の仕事は、主には内部空間を作ることです。
大きな「そと」という空間に屋根をかけ、壁を作り、外敵や雨風から人間の暮らしを守ること。
それが建築の始まりですし、
住宅の設計だって、もちろんみなさん内部が欲しくてご依頼をしていただくのです。


あぁ、、、、こんな閉所恐怖症の僕が、まさか内部を作る仕事を選ぶなんて!!!
なんという人生のいたずらでしょうか、、、、?

もう、閉じこもった内部空間なんて、、、、、大嫌い。


でもそういう僕が建築の設計の仕事をしているからこその
いいところも案外あるのです。

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独立以来、
仕事を頼まれるたんびに「なか」を設計しているふりをしながら、
気がつくとせっせと「そと」を設計してきました。

でも、そんなの受け入れられるはずないですよね。
みなさん「なか」が欲しいんだから。
だから、跳ね返されるたんびに、じゃあこんな「そと」は?じゃあこんな「そと」は??
という具合に、ひたすらに「そと」を提案してきました。


そういう事ばっかり考えてきましたので、さすがに途中から
あからさまな「そと」ばっかりだと、なかなか受け入れられない、、、。(経験者談)

という事も、学習してきました。
でも、そこで諦めないのが、性癖のなせる技です(笑)。

だから、「なか」っぽい「そと」とか、「そと」っぽい「なか」とか、
限りなく「なか」なんだけど、「そと」のように感じられる、、、、
図面上は、どう見ても「なか」なんだけど完成すると「そと」っぽい、とか、
もう、そういう事ばかりを考えるようになりました。


そう、肉を切らせて骨を断つ作戦ですね。


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考えるのは、
とにかく風が抜けること。
家にいるのに、街にいるみたいに感じられること。
小さな敷地を買ったのに、まるで街を手に入れちゃったように感じられること。
カーテンなどをほとんど閉めなくても、気持ちよく生活できること。
玄関入っても、なんだか街の続きのように感じられること。
お風呂もできれば露天風呂のように。

できるだけ地面を残して草木が生えるようにすることも、僕の究極の閉所恐怖症のなせる技です。
なぜなら、地面を掘っていけば地球の裏側に脱出できますからね。
コンクリートを敷き詰めちゃうと、掘るのが難しい。


などなど。
書ききれませんが、
とにかく自分がその空間に身をおいて、気持ち悪い空間は作りたくないのです。
なので表向きは人様の要望を聞いているようなふりはしていますが、
根っこのところは実はそうではありません。


でも、たくさんのお家を設計させていただきご入居後の気持ち良さそうな暮らしも
たくさん拝見させて頂くうちに、
上記したような空間は、みんな口にこそ出さないだけで
絶対みんな気持ちいいはずだ、という確信だけはどんどん強くなってきました。


さてそんな中、なんの前触れも準備もできないまま、
コロナ禍に突入してしまい、通勤も学校にもいけないステイホームが
長く強いられる時代に突入しました。


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まだまだたくさんのストレスを感じる期間は続きそうですが、
僕たちが手を替え品を替え、それぞれの住宅に潜り込ませてきた「そと」が、
少しでもステイホームの時間を、

「でも、なんか街にいるみたいだね。」

と気持ちを「そと」や街に解放してくれているといいなーと改めて思います。

そんな想いをコラムに書かせていただきました。

実は今までこういう事をあまり言葉にしてこなかったのですが、これをきっかけに
もっと言葉にして、誰でも「その」のある暮らしを手に入れられるようになったらいいなーと
最近、少し自分の中のスイッチが切り替わったような気もしています。



写真は、5月に完成した木元さんのお家。
先日伺ってきたのですが、
まさにステーホームしているのを忘れるくらいに、暮らしに「そと」のある家でしたよ。

posted by 西久保毅人 at 20:30| 2020.7月の気づき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月30日

アリサト工房さんとうつわ空さん

奈良県にアリサト工房さんっていう、茶布の作家さんがいらっしゃいます。

1年くらい前に和紙職人のハタノさんと時々、一緒に空間デザインをされているのを知り、
インスタグラムで拝見したのですが、
風にひらひらと揺れる茶布がもう、うっとりするようで、、、。

動画を見たのですが、
布っていうよりも、風そのものの動きが感じられるというか、
風が布と戯れて遊んでいるようにも見えて、
まさに風を視覚化するような、そんな布だなーと感じました。



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あんまり素敵なので、いつか、、、いつか、、、ご一緒に仕事ができたら、って思っていたんですが、
待っていてもそんな機会は来ず。
そんな中、ちょうど最近、中野の月のとびらで毎週「月とびリモート」っていうのを
始めたのをきっかけに、月とびの顔になるような、何かが欲しいなーと思い始め、

そうだ、アリサトさんの布!!!

って、思い出しました。

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ご連絡したら、こんな時期にもかかわらずとてもスムーズに対応いただきまして、
とりあえず、何かサンプルを送りますね〜、という話に。

もちろん取り付ける場所とかは、お伝えしておいたんですが、
奈良県の工房から届いたサンプルを取り付けてみてビックリ!

なんという事でしょう!
あまりにも月のとびらにぴったりではないでしょうか、、、。
もう、まさに、月のとびらにつけるために誕生したような、大きさ、長さ、質感、刺繍、、、。

とそんな訳で、サンプルだったのですが、
もう返したくなくなってしまったのは、言うまでもありませんね(笑)。
本当は、サンプルでイメージを作ってから、特注で製作していただく予定だったんですが、
あまりにぴったりだったので、

「ええと、、、あまりにぴったりで、この場所に似合うので、、、、、返したくないんですけど、、、。」


と、取り付けた写真や動画を送りつけつつ、子供じみたお願いをしてみたのです。

そしたら、アリサトさんも、


「笑笑。本当に、ぴったりですね!!! では、、、、お譲りしましょう。」


という、神様のような対応をしていただきまして、もちろん費用はお支払いしたのですけど、
めでたくうちの子になりました(笑)。


いやぁ、、、、でも本当に素敵な布です。
風にゆらゆら。
取り付けただけなのに、このジメジメした梅雨の時期が、涼しくなった体感すらあるんです。
魔法の布かもしれません。

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そして、偶然なんですがその週末から、
うつわ空さん、という昨年も月のとびらで展示販売をお願いしていたうつわ屋さんが、
のんびりと展示を再開してくれる事になっていました。

そのタイミングにもぴったりあって、
あっという間にとても涼しげで、夏らしい展示空間となったのです。



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なんていうか、縁ってあるんですねー。
たった布一枚なのに、このコロナ禍のもやもやした気分も
なんだか爽やかに。

アリサトさん、どうもありがとうございました!
いろんな形で使ってみたい布ですので、
きっとまたお願いしたいと思っています。



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と、そんな訳で、月とびリモート。
8月も開催します。

8月は、うつわ空さんのうつわを常設していただく事になりましたので、
うつわも見に来てくださいね。その場で購入できますので。


しかし、僕はこんな性格だから絶対犬とか猫とか預かったりできないなー、、、って思いました。


きっと返さないでしょうからね、、、(笑)。
気をつけます!
posted by 西久保毅人 at 23:59| 2020.7月の気づき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする