
和田さんの家のお風呂は、ハナレになっていて、テラスを通っていきます。
晴れた日は湯上がりを楽しみ、
雨の日は、小走りに、または傘をさして。

といっても、安藤忠雄の住吉の長屋みたいな、ストイックな精神性なんて、
全然なくって、むしろ真逆。
毎日訪れるバスタイムをいかに贅沢に楽しむか。
おいしいものをよりおいしく食べるための、前菜や食前酒を選ぶような、
そんなカンカク。
「たぶん、家ができたら、僕はテラスか風呂場にずっといると思うんだよねっ。」
と、完成前から、和田さんは浴室を占拠宣言されていました。

お打ち合わせでも、「じゃあ、傘はどこにおこうかしら、、、?」
「ビールを冷やす冷蔵庫のスペースもお願いします。」
「ぼくんち、カサさしてお風呂行くんだよっ。」
と、ご家族は僕ら以上に、この家で起こる出来事をワクワクして想像して頂きました。

そんな感じで、ワルノリにワルノリを重ねたおかげで、
ホントに気持ちがいい場所になりました。
気持ちがいいと、もう、そこが風呂場かどうかなんて、どうでもいいのだなぁ、
という事も、この家ができて感じたことです。
テラスとの連続感を、、、、というよりも、
テラスにたまたまバスタブが埋まっていて、そこにたまたま屋根がかかっている、
というようなイメージで設計した事で、浴室として使用しない時は、テラスの延長
のような場所ができました。
バスタブに腰掛けて、お昼ご飯を食べたりしながら、
思い込んでいる「あたりまえ」、をちょっと変えるだけで、
まだまだ思ってもみなかった空間の可能性があるはずだなぁ、と改めて思うのです。
つづく。
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