
「個人に属するスペースはいりません。」
白石さんの家は、そんな言葉から始まりました。
そんな白石さんの家にお邪魔した時の事は、とても印象的でした。
小学生の3人のこども達がいるのですが、
父ちゃんが作ってくれた、小さな小さな子供用の机を、その時々で自分が好きな場所に持ち歩いて、そこで勉強やお絵描きをするという事でした。
机っていうよりも、スケッチ大会の画板のようなイメージが近いかな?
そして、お母さんのそばで宿題をしたい時は、そこに机を持っていき、隅っこでこそこそしたい時は、隅っこに持っていき、、、、、、とその時々、その季節、気分で自分の場所をつくっていく、そんな生活をマンションで自然に実践されていました。
そんな生活を見せて頂いて、
「なるほどー、これはたのしいぞ。」
と思ったのがこの家の始まりです。
なんとなく、ダラーっと全体が繋がっているんだけど、薄暗い場所、低い場所、隅っこ、明るい場所、、、、など、いろんな質の場所を作るのがいいかな。そんな名前はないけど、いろんな質の場所だけ作って、それを白石家に渡してしまえっ。
その空間を舞台に、こども達の成長にあわせて、親も一緒になって、長い年月をかけた「陣取り合戦」が毎日繰り広げられるような家。
そんな家が白石家には、ピッタリだと思いました。
さてしかし、そんなビッグコンセプトを掲げても、1階、2階、3階、、、という階で空間を分けてしまっては、面白くありません。階は、明確に領域を分けてしまいます。
うーん、
と悩んだあげくの結論は、、、、、
スキップフロアでした。
しかも、ただスキップしているだけでは、白石家に失礼でしょう、、、、。
という訳で、
床と床の段差を、
「こども達が自力で、よじ登れる高さのスキップフロア」
にする事にしました。
「白石家のこども達よ、一応、カイダンってものをつけなきゃいけないんだけどさ、
君たちなら、階段なんて使わないで住んでくれるだろっ、信じてるぞ!」
という、あつーい、メッセージを込めて。
1.2Mだとちょっと高いかな、、どうかな、、、と少し不安だったんですが、
結果はというと、写真の通りです。。。。。

ちょうど、夕方、こども達の友達含めて、10人くらいのこども達が集まったんですが、もう、期待通りによじ登ってくれました。
逆に、
「あの、、、一応、階段もあるんですけど、、、、。」
といいたくなるくらいですね。。。。
みんな、汗だらだら、、、。

ちょっと、住宅にしとくにはもったいないくらい、楽しい空間です。
この家については、もっとたくさん、言いたい事あるんですが書ききれないので
それはまた次回に。
こんな楽しい家を設計させて頂いて、白石さんご家族には、ホントに感謝です。
できれば、西久保家5人家族にも、1年くらい住まわせて頂きたいです、、、、。
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