2007年09月10日

ちいさく ひくく ほの暗く

さて、今週末は、佐藤さんの家のオープンハウスです。
屋上にも、ちらほら、草が生えてきました。

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大抵、家作りを考えている方は、

少しでもひろく、少しでも高く、そして、少しでも明るく、

と口を揃えて言われる事が多いですね。
別に、悪い事ではないんですが、雑誌なんかでも、

広いリビング、
吹き抜けの大空間、
狭小地でこの明るさ、

この3つをいかに獲得したか、という事が大抵話題の中心です。


正直、単純にこの3つだけを獲得するのは、設計者としてそんなに難しい事ではありませんし、それだけで良ければ、結構ラクなもんです。
でも、都市住宅において、それが必ずしも良いか?というと、そういう訳ではありません。



実際、人間の空間カンカクって、結構だまされやすいものなのです。



例えば、2m40pという標準的な、天井高に暮らしている人はとても多いので、
「少なくとも、新しいうちは、2m40p以上は・・・・」
なんて、言われる事が多いです。
でも、実際、その寸法だから、せまく感じているのではなく、空間のコントラストがないから、せまく、低く、感じているのです。

だから、実際は、空間構成によって、同じ寸法でも、低くも高くも感じる事ができますし、いろんな寸法設定をする事で、同じボリュームの空間でも、移動するたびに、ワクワクするとても奥行きのある空間にする事ができます。

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それって、野球のピッチャーの投球術にも、似たところがあります。
例えば、150キロの速球でも、投げ続けると、バッターも目が慣れてきます。
でも、そのピッチャーが、90キロのボールと、速球を使い分けたとたん、バッターは
きりきり舞いです。
内角にズバッと決まった速球の後の外角の球。
コントロールの良い、そんなに球の早くないピッチャーが、バッターをきりきり舞いにさせるシーンも、緩急のコントラストで、的を絞らせないんだと思います。

きっと、要は度胸なんでしょう。
緊張感のある試合の中で、やっぱ、90キロの球を投げるって、かなり度胸がいります。
だって、、、遅いですよね、、、90キロは。さすがに。


それは、ケンチクも同じで、2mを切ったような天井設定って、度胸がいるのです。
だって、低いですし、、、、、手もついちゃうし、、、、。


無難に、全部2m40pにしておけば、なんの苦労もないのに・・・・・。


と自問自答しながら、日々、設計をし、現場で確認します。


でも、ぎりぎりに絞り込む事で、生まれる素晴らしい世界がある事を、僕らは身をもって知っています。

要は、コントラストなのです。


人間のカンカクは不確かなので、高さ、広さ、明るさのコントラストで、いかようにも空間の感じ方が変わってしまうものなのです。
たいてい法規によって、建てられるボリュームって決まってしまいます。
だから、そのボリュームの中で、どうコントラストをつけるか?



度胸ですね、、、、。


さてさて、今回の、佐藤さんの家は、そんな寸法を考えるのに、とても有意義な仕事でした。


「あの、小さな家をお願いします。
背の高い現代人に合わせて作られた空間は、天井も高くて、扉も大きくて、背の低い私にはとっても疲れるのです。。。。。。。
だから、私のサイズにあった、小さな、安心できる家が欲しいのです。。。。。」


身長152pの佐藤さんにとって、居心地のよい寸法ってどんなだろう、、、?

広い事も、高い事も、特別に明るい事も求められない空間で、どんなコントラストをつけたらよいのだろう、、、?

そんな事をひらすら考える機会を頂きました。

136.satoutei.jpg


先日、もう、ほとんど完成した現場にて、

「いやー、この家にいると、2m40pってすごく高いねー。」

と、監督のヤマガタさんがしみじみおっしゃっていました。



ちいさく ひくく ほの暗く




完成まで、もうちょいです。







posted by 西久保毅人 at 22:49| 2007.7月〜9月の気づき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする