2007年06月18日

この世界の同時性について

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昨日は、田崎さんの家のオープンハウス。
暑いくらいのお天気の中、たくさんの人が見にきてくれました。
華道家である奥さんの真理さんが、家中にきれいな生け花を飾ってくれました。
僕は僕で、いままでの仕事を大きな写真パネルにして、展示させてもらいました。


僕は、この世界について、こんな事をいつも考えています。

それは、この世界のどうしようもない「同時性」について。

例えば、今僕がこうやって文章を書いている時、同じ地球上では、戦争や内乱でたくさんの子供達が命の危険にさらされており、そんな事が同じ時に、同じ地球上で起きているにも関わらず、僕はのんきに文章を書いています。

また、日本では、小学生の子供達が、受験しないといい大学に入れないし、それが人生のすべてなのだ、と毎晩塾がよいをしている同じ地球上で、インドでは子供達が、明日のご飯のために物乞いをしているでしょう。

新聞では、見開きページで、片側に少子化問題、出生率が語られ、もう一方には、アフガン内戦の話題。世界一の出生率7.3人/1人のアフガニスタンでは、毎日産まれてくる子供と同じくらいの人が死んでいるのです。それが見開きページで同じ日に、同時に語られるという事。

命の重みが、生まれた場所でぜんぜん変わります。
でも、それが事実、現実である事。

例を挙げるときりがないくらい、いろんな事が、同じ時間にこの地球上で起こっていますし、いろんな人がいます。どうしようもない事が、当たり前にたくさんあります。
そのいろんな事をひっくるめて、僕はこの世界が大好きですし、だからこそ、誰かを好きになったり、何かに感動したり、涙があふれたりするのだと思います。


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それは、「ケンチク」も同じだと僕は思うのです。

ケンチクは、一人で作る事はできません。
頼んでくれる人がいて、頼まれた僕がいます。
敷地はいつも、現実の場所にあるし、周りには、家があったり、畑があったり、崖があったりします。
ご家族一人一人の要望があり、予算があります。
明るい部屋が好きな人、暗い部屋が好きな人がいます。
建築のの歴史があると同時に、流行があり、その中に僕は生きています。
構造を専門に設計する人のやりたい事があると同時に、年配の大工さんの知恵とカンがあります。

それを一つの答えで、同時に成立させる事。

それが、設計だと僕は考えています。

いろんな条件による矛盾や不都合。
それらにこびるでも、拒否する、でもなく笑い飛ばすように同時に成立させる、一つの形を見つけて行く事。


それが、設計です。

少なくとも僕はそう考えていて、それを、一つ一つの設計で、一つ一つの出会いから生まれるものを作りたくて、独立しました。

そんな風に考えてつづけて、気づくと5年が過ぎ、完成した住宅は、20件を超えました。
僕が未熟で、ご迷惑をかけた事もたくさんあります。
同じ間違いを繰り返してしまった事もあります。
完成した喜びの数よりも、もっと出来たはずなのに、もっと早く気がつけば、、という悔いの方が正直多いです。
お金を頂いて仕事をしているのに、プロとしてやっているのに、という反省の日々です。

でも、僕はだからこそ、この仕事を死ぬまで続けて行きたいと考えていますし、設計をする機会を頂いている事を心から感謝してやみません。


ながーい、くさーい、話を延々と書きましたが、ここ数年嬉しい事があります。
もう、完成して、お引き渡しをした家のご家族が、オープンハウスに来てくれる事です。

昨日の、田崎さんの家もそうでした。
現在進行中のご家族やもう、完成した家のご家族、前職時代のお施主さんまで、わざわざ足を運んでくれました。ご自分の家の近況報告と同時に、ありがたいご感想も頂きました。
さらに昨日は、田崎さんの御厚意で、夕方5時からは、皆でビールを飲みながら完成を祝い、今までのお客様からの住んでみての実際の感想、思いの外、使いにくかった事、思いの外良かった事など、それぞれにざっくばらんに聞かせて頂きました。

もう、「す、すみませーんっ」と頭のあがらない思いでした。

でも、本当にうれしくて、夢のような時間でした。

あんな時間を過ごさせて頂いた田崎さんには、心から感謝しています。
それと同時に、今まで受けさせて頂いた仕事の重みを強く感じました。


ぜんぜんちがう条件、ぜんぜんちがう好み、ぜんぜんちがう設計。



そんなぜんぜんちがう人たちが、たまたま僕が設計をさせて頂いた、という唯一の接点で同時に存在するという事。

ぜんぜんちがう、という事を前提に、でも同時に本気で、意見をぶつけ合う事。

ぜんぜんちがう、って、本当に素晴らしい事です。

そして、ぜんぜんちがう、が、いっぱい、同時に、平気であるのが、

「最高にハッピー」な世界なんじゃないかと思うんです。


もう、長くなるから、この辺でやめますが、
とにかく、僕にとっては、最高のオープンハウスでした。

そして、これからも、ぜんぜんちがうたくさんの出会いを楽しみにしていきたいと思います。


そして、ぜんぜんちがう、ボクとアナタという「ニコの個性」が出会ったからこそ、誕生する世界で一つだけのケンチクを作り続けて行きたい、と強く思った一日でした。


・・・・・・ながっ。

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posted by 西久保毅人 at 23:12| 2007.4月〜6月の気づき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする