
3年生後期の授業は、スタジオ制になっていて、
各先生が、自分で自分のスタジオの課題を決めていい事になっています。
なので始める時は、毎年課題を変えちゃおうかなぁ、、、って思ってたんですが、
結局、思いの外、学生達が苦しみながらも面白がってくれるので、こまかな
ところは変えつつも、結局4年間、僕が好きな2つの商店街をテーマにした課題を続けました。

西久保スタジオの
大きなテーマは、
「さしだすデザインの発見」
っていう、課題だけ聞いても、何の事やら分からないような課題。
、、、課題を出してる当の本人の僕も答えは知りません。。。。

2つの古い商店街を舞台にした課題、ってコトは決まっています。
そして、自分で一人一人、商店街を歩いてカンサツして、話しを聞いて、
そのカンサツを元に、商店街が、今後も生き生きし続けられるような
何かを提案しよう、ってコトは決まっています。

ただ、どこに、何をつくればいいのか?
は、決まっていません。

新しい建ものを作れば良いのか?
それとも、リノベーションがいいのかも、決まっていません。

しかも、「ケンチク」を作る必要があるのか?
も、決まっていません。

先生に、敷地を与えられて、そこに住宅なり、美術館なり、学校なりを作りなさい、
っていうのが、一般的な多くの大学の設計の授業ですので、
「作る場所と、作るもの」
から考えるっていうのは、一見自由なようで、本当はとても難しい課題なのです。
まぁ、教える方は、決まってた方が楽なんですが、、、、。
でも、こういう課題を通して面白いのは、
はたして、自分は建築学科っていう場所にたまたまいるけれども、
本当は、ケンチクや街の
何に興味があるのかが発見できるコトだなぁ、、、、って思いますし、
逆に僕も、
「へー、そんな街やケンチクの見方や考え方があるんだぁ、、、、、。」
って、毎年、はっとさせられるコトがたーくさんありました。

その分、っていうか、そういう課題を出す以上、
学生の話しだけは徹底的に聞く、って決めて始めたので、
もう、授業っていうよりも、個別な人生相談みたいな
授業になってしまいまして、毎週、毎週、バカみたいに大学に夜遅くまで
いるハメになっちゃいましたが、、、、。(笑)

こんな課題なのでもう、毎年、毎年、最終発表まで、それぞれ提案がまとまらず、
ヒヤヒヤなんですけど、
いやー、学生パワーってすごいなぁ、、、、、って思うのは、
最終発表までに何日も徹夜して、
最終的には、自分の世界をしっかりと作り上げてくれるのです。
なんていうか、気合いっていうか、プライドっていうか、学生の意地っていうか、、。
まぁ、こうやって、最後にちゃんとまとめあげてくれるから、
僕も、こういうムチャぶり的な課題をやめないんですけどねー、、、、。

そんな訳で、もう、学生達が描く未来の商店街の風景は、
一人一人、ぜーんぜん違って、まさに妄想博物館。
毎年あまりに面白くて、
正直、大学の中だけにとどめておくには、あまりにもったいないので、
3年前から、僕の班では課外授業として、
実際にその商店街の方々に集まっていただき、
公開プレゼンをさせて頂いています。
、、、、実際は、この時期は、もう彼らは春休みでして、
大学の課題としては、もう成績も付けちゃってるからもはや授業でも
なんでもないんですけどね、、、、、、
ちゃーんとみんな集まってくれて、僕もうれしいですけど、
商店街の方々も、毎年、お忙しい中、ほーんと歯に衣を着せぬ意見を
言っていただいて、実は、大学なんかよりも、ためになる機会だったりするんです。

でも、3年もしていると、商店街の方々も、
「いやー、今年はこういう傾向にあるねー。」
とか、
「これは、今でもやりたいねー。」
とかいう、いろんな意見を頂けるようになってきましたし、
商店街、というものの生の声をしっかりと聞かせていただけるので、
学生達も、とてもうれしそうだし、、、、
何より、発表する表情が、大学でする時と、まったく違うんです。
こっちの方がいきいきしているっていうか、、、。

一生懸命考えたからこそ、しみる言葉。
そして、伝わる言葉。

彼らも、4月からはいよいよ、4年生。

それぞれどんなテーマの卒業設計をするんだろう?
1年後の、彼らのさらなる妄想博物館が楽しみです!