梅雨明けと共に、いろんな工事が始まる夏です。
台東区で五十嵐さんの家の工事が始まりました。
4階建ての2世帯住宅です。
とても地盤が悪い地域なので、杭が必須な場所なのですが、
その長さ35M。
まさか35Mのものは運べないので、5Mずつの杭を溶接しながら打ち込みます。

それにしても、35M。
例えば、一層を約3Mとすると、およそ地下12階分です。
言葉では分かっても、なかなか頭はついて行きません。
こんな感じでしょうけど、、、、。

だから、監督の山縣さんが、
「この杭の中に、なんか隠しといたら、何百年後かに発掘されるかもよ。」
っておっしゃるのも、なるほどね、とうなずけます。
タイムカプセルみたいなものでしょうか?
ちょっと深すぎますが。。。。。。

さて、五十嵐さんの家は、分離2世帯なのですが、その他に、
職人のお父様の仕事場、ガレージと、小さなボリュームの中に
いろんな用途が詰まっている4階建ての立体長屋のRCの住宅です。
杭にしても、こんだけ大げさな工事をへて作る住宅。
だから、作ったからには、できるだけ長い間、
愛着をもって住める家にしたいと思いました。
建ものは、今現在の必要とされる要望や用途を満たす事が
まず優先されるのですが、10年後、20年後、30年後には、
ライフスタイルも、用途も、変わる可能性があります。
今の生活と、未来の生活。
どっちも、ものすごく大切です。
ある意味、過去と未来をつなぐようなしかけが出来ないものか?
基本的にはRC造なのですが、
そんな事を考えて、各階の床を、一部簡単に取り外せるようにしています。
模型写真では、木の天井の部分がそうです。
例えば、将来、吹き抜けにしたい。
下の世帯と、つなげたい。
いっその事、4層全部つなげてみるか?
そんなまだ見ぬ未来の要望にも対応できる家。
結局、ケンチクは、未来の要望に対応できなくて壊されていきます。
200年住宅とか、長期優良住宅とか、聞こえはいいけれども、構造体だけ
どんなにがっちり作っても,たぶん
「今の生活にあわないから。」
という理由で、あっさりと壊されていくでしょう。
だから、強い部分と、弱い部分。
その両方をあわせもったケンチク。
住みながらも,未来の生活を想像できるような住宅、
愛着をもって住んでいただけるような構造体を目指しました。
建ものが、もつ、もたないは、結局は愛着なのだと思うな。
RCなので、時間がかかりますが、構造体ができあがるのがとても楽しみです。

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